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編集部だより

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■ 思考のカンバスに向かって

蝉(せみ)が鳴くのをやめたいくらいの酷暑、それも湿度が異常に高く感じられたこの8月を越えたとたん、からだのあちらこちらに危険信号がともっている。

どこかが病気というわけではないけれど、キレが悪い。冴(さ)えがない。そもそも、やる気がなかなか起きない。そうこうしていくうちに秋に突入し、やがて冬を迎えるのかと思うと、気がめいってくる。

心身の疲れを癒すコツは、からだを温めることにあるという。「冷」だって効用があるはずだが、疲れには「温」なのである。

好きなテレビ番組を見て、あるいはスポーツ観戦したり音楽を聴いたりしてアツくなり、からだを温めるのもいい。

縄暖簾(のれん)をくぐって、ともにくたびれた友と口角泡を飛ばすがごとく、がなり合うのも楽しい。周りのだれも聞かない四方山話が、魔法のドリンク剤になる。

あるいは、温泉に入り、飲み食いしたり身体を動かしたりして、直接からだを刺激し、温かくなるのも気持ちがいい。

口に入れるならプーアール茶(黒茶)、と同僚はいう。年代を重ねるにしたがい味にまろやかさが出るこの茶は、からだを温める効果があるという。飲んだ時にカビ臭いという印象をもたれがちで、「日本人にとって最も好き嫌いが分かれやすい」と、「旬旅@ワールド」で中国茶の魅力を語ってくれる有本香さんは解説する。ただ、彼の地に行ったことはないけれど、さぞかし、この銘茶の生まれ故郷、中国・雲南省のすがすがしい風のなかで喫茶すると、からだは思い切り軽くなり、じんとくるのだろう。

そして、からだの筋肉から温めるのがホットヨガ。新しいものが好きなニューヨーカーにいま、ブームという。からだの歪(ひず)みを矯正し、血液の流れをよく循環させる。免疫機能も高められるといわれ、人気に火がついた。それに自分のからだと相談しながらできるので安心・安全というわけだ。

さて、心身が温まると、気力も充実。となれば、この秋は何をしようか、と楽しい夢を語ることもできるわけだ。

物憂う秋には、深い色が合う。その思考のカンバスに、鮮やかで印象深い一点したためるなら、何がいいか――。まだ見ぬ将来へつながるひと筆に、指先はひとりでに動く。

「どらく」編集長 小野高道

(2006年09月13日)

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