ひとり暮らしは自由な半面、家族と暮らす人とは違う悩みもある。安心して生活するには、どんな工夫が必要なのでしょうか。
ひとり暮らしの現役世代は、仕事だけという人も少なくない。「毎日会う職場の人たちは、一種の大きな『ご近所さん』。欠勤が続けば、まず会社から連絡があるはずです。普段の生活をある程度見せておくことはセーフティーネットにもなる」と、コラムニストの深澤真紀さんは言う。「自分をすり減らさないための人間関係メンテナンス術」などの著書がある。
埼玉県川越市に暮らす龍神由美さん(51)も、外資系企業で仕事中心の生活だった。だが44歳のとき、知人の話をきっかけに郷土の歴史や文化に興味を持ち、週末に史料を調べだした。
ひとりで取材、編集、配布までを手がけた無料配布紙「瓦版川越今昔ものかたり」を02年から発行。その後、単行本にもなり、市から「小江戸川越観光親善大使」を委嘱された。
会社員生活だけでは得られない出会いを通じて地域に愛着がわき、安心感も増した。龍神さんは「地域デビューは、体が元気な現役のうちがお勧め」と語る。
内閣府の06年調査では、ひとり暮らし高齢者の74%が「日常生活に満足」と答えた。一方で、「心配ごとがある」という回答も63%あり、03年から20ポイント以上増えた。心配ごとがある高齢者の3割は「頼れる人がいない」と答え、一般世帯の高齢者の6・5倍に上る。
年齢が上がるにつれて、ひとり暮らしに不便さや不安を感じる場面は増えていくようだ。「シングルライフの弱点は、生活の全体像を知ってくれている人がいないこと」と、生活アドバイザーの石川由紀さんは言う。90年に「ひとりで生きるために、単身者の生活権を検証する会」(単身けん)を作り、シングル生活の困りごとに関する勉強会などを開いている。
「義理の妹に手術の保証人を断られたときは、目の前が真っ暗になった」。今春、手術を受けた都内の女性(66)は振り返る。30年前に離婚してずっとひとり暮らし。子どもはなく、親やきょうだいも他界した。
病院から紹介されたのが、高齢者の身元保証や生活支援を手がけるNPO法人「きずなの会東京」だった。女性は会に契約金を納め、身元引受人になってもらった。「本当に安心した。今後も色々と相談したい」
高齢者の財産管理や契約を代理人が担う成年後見制度は、認知症などで判断能力が十分でなくなった人が対象だ。この女性のように、判断能力があっても身寄りのない人を支える公的な仕組みはないため、各地できずなの会のような民間団体が生まれている。
だが、「中には信頼できるかどうか分からない団体もある」と、立教大学大学院の高橋紘士教授(地域ケア論)は語る。「一生を託すのに不可欠な、安心と信頼を担保するための情報公開や、団体の活動継続を支援する仕組みなどの制度整備が急がれる」と指摘する。
18日付「私の場合」に、日常生活の小さなことを頼める制度がほしいという投稿がありました。私が住む東京都世田谷区には「高齢者安心コール」というボランティア制度があります。ひとり暮らしや高齢者のみの世帯の人が手助けが必要な場合、24時間365日対応の区のコールセンターに電話して登録すると、ボランティアによる訪問援助が受けられます。私は妻とともに電球交換や、電化製品の据え付け、外出のサポートなどをお手伝いしています。こうしたサポートが各地で増えると良いと思います。
(東京都 男性 72歳)
シングル女性のネットワークづくりを支援する、NPO法人SSSネットワークが発行。いざというとき慌てないために、かかりつけの病院や緊急時の連絡先、ペットの世話の仕方や預貯金の預け先、葬儀の段取りなどを書き留めておける。記入するうちに頭の中が整理され、人間関係や自分の人生について考えるきっかけにもなる。1冊1050円(税込み)。問い合わせは同ネットワーク(ファクス03・3547・2960、またはメールsss@bird.ocn.ne.jp)へ。
(更新日:2009年07月27日)
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