東インド諸島のマンゴスチン、エクアドルのパイナップルと並んで、世界の三大美味果といわれているチェリモヤ。
外見に似合わないクリームのような白い肌のなめらかで甘〜いフルーツです。
東京青果の大石富出実さんに紹介してもらいました。

チェリモヤの語源は冷たい種子? 冷たい胸?
「原生地はペルーからエクアドルにかけて。アンデス山脈の高原地帯です」と、大石富出実さん。
チェリモヤの語源はペルー語。「冷たい種子」という意味の“chiri muya (cold seed)”、あるいは「冷たい胸」という意味の“chiri moyu (cold bosom)”に由来しているといいます。
「チェリモヤの栽培は有史以前からだそうです」
ということは、大昔ですね。ペルーには紀元前からさまざまな古代文明が栄えていました。有史以前ということは、その頃から栽培されていたのかもしれません。そして16世紀、インカ帝国がスペインによって滅ぼされました。やがてスペイン人によって母国の地中海沿岸で栽培されるようになり、いまはアンダルシア地方が世界で一番の産地になっています。

「今日のチェリモヤはカリフォルニア産ですが、日本でも栽培されているんですよ。2003年のデータではチェリモヤ全体の栽培面積は0.7ヘクタール。そのうち和歌山県が0.5ヘクタール、静岡県0.2ヘクタール。沖縄でも少し栽培されているようですが、ほとんど2つの県で占められているといっていいですね。」
チェリモヤは、バンレイシ科バンレイシ属の常緑樹。「冷たい種子」の名前どおり、バンレイシ属のなかでは、冷涼な気候を好みます。とはいえ、日本ではやはり冬の寒さがキビシイ。和歌山県に初めて入ったのは1970年ごろですが、農家で初めて実を結んだのは1988年といわれています。18年もトライアル&エラーが続いたわけです。
「栽培面積が0.7ヘクタールでは、まだ全国区のフルーツにはなるのはむずかしいでしょう」と大石さん。
チェリモヤの果肉はクリーミーで、香り高く、強い甘みとほどよい酸味がある、たいへんおいしいフルーツです。初めて食べたヨーロッパの人たちには、いままで経験したことのない美味だったのでしょう。いろいろな賛辞が残っています。ある人は「甘美そのもの」とたたえ、ある人は「自然の傑作」といい、ある人はギリシア神話でトロイ戦争の原因となる「金のりんごよりチェリモヤを選ぶ」といっているほど。アメリカでも、その風味のすばらしさから、チェリモヤを「トロピカル・デライト(熱帯の喜び)」と呼ぶことがあるそうです。
チェリモヤは樹上では完熟しません。常温で保存し、やわらかくなるまで追熟させて、半分か四分の一に切って、スプーンでいただきます。

お話:大石富出実 まとめ:クサマヒサコ
参考図書:間苧谷徹「果樹園芸博物学(養賢堂)
←新顔フルーツを紹介してくれる大石富出実さん
東京青果株式会社営業本部副部長

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