「いま、輸入フルーツは少ない時期なんです」と、東京青果の大石富出実さんから連絡がありました。
「だから今回は、日本産トロピカルフルーツをとりあげてはどうですか。名前は知られていますが、よく食べるという人は、ごくわずかでしょう。まだまだ新顔だと思いますよ」
確かに、私のまわりにマンゴーやパパイアをふだん食べている人はいません。そこで、国産トロピカルフルーツを紹介することにしました。
日本ブランドはなかなかすごい
「国産のトロピカルフルーツといえば、昔はパイナップル。沖縄産のパイナップルは、かなり前から市場に出回っていたと思いますよ。それが、10年くらい前からはマンゴーとパパイアが目につくようになって、その後にパッションフルーツ…。マンゴーがこんなに注目されるようになったのは、5年くらい前からでしょうかね」と大石さん。
マンゴーの原生地は北部インドからミャンマー、マレー半島にかけてと推測されていますが、インドでの栽培は4000年前からとも、6000年前からともいわれる古いフルーツなので、確かなことはわかりません。
日本では1897年、といいますから100年以上前に沖縄の農業試験場で栽培されています。その後ハワイや台湾からいくつもの品種が導入されたのですが、結局主流になったのは、「アーウィン」でした。大きなたまごのような形が特徴の真っ赤なマンゴーです。
「完熟したらネットの中に落ちるように、一つずつネットをかけてあるところを見たことがあるでしょう?国産マンゴーは樹の上で完熟させてから収穫するんですね。これに対して輸入ものは未熟なうちにとって追熟させます。輸送に時間がかかりますからね。そこが違うんです。国産ものは品質がいいから、人気もあります。これからのトレンドだと思いますね」
香りも味も甘く、やわらかくなめらか。さすが「トロピカルフルーツの女王」です。

パパイアの原生地は中南米といわれていますが、詳細は不明。新大陸発見直後の16世紀初頭に、スペイン、ポルトガルの探検隊によって、世界の熱帯地方に広まりました。日本には中国→台湾→沖縄というルートで入ってきたと推測され、18世紀初頭には沖縄にあったという記録があります。ただし、本格的な栽培は第2次世界大戦後。いまは、野菜としての青パパイアも注目されています。
マンゴーほどの甘さはありませんが酸味も感じません。果肉はとてもなめらかです。

パッションフルーツの原生地はブラジル南部。日本にやってきたのは明治時代初期、ということはこちらも100年以上前です。日本名は「くだもの時計」といいます。パッションフルーツは植物学的には、トケイソウ科トケイソウ属なのです。
トケイソウという名前は花の形からつけられたそうですが、同じ花を見て、スペインの宣教師は十字架を連想し、「受難(パッション)」という名前をつけました。「パッション」の意味は、「情熱」ではなかった、というわけです。
ゼリーに包まれたタネごとツルンとのみ込みます。さわやかな酸味が特徴ですが、今回のパッションフルーツは思ったより甘い味がしました。

ちなみに2005年の農水省統計によると、マンゴーの年間収穫量は2151.6トンで、多い順に沖縄、宮崎、熊本。パパイアは383.1トンで、沖縄、鹿児島、宮崎の順。パッションフルーツは461.3トンで、鹿児島、沖縄、東京(小笠原)の順です。
お話:大石富出実 まとめ:クサマヒサコ

←新顔フルーツを紹介してくれる大石富出実さん
東京青果株式会社営業本部副部長

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