冬の野菜の定番はたくさんあるけれど、青い葉の野菜といえば、ほうれんそうと並んで代表は春菊ですね。すき焼きにも鍋にも「いつもあるもの」、わが家のプランターか畑に、冬から春は「いつもあるもの」。前回のねぎ同様、春菊は「風邪にいい」代表でもありますから、いっぱいいっぱい食べましょう。

学名:Chrysanthemum coronarium L.
英名:garland chrythemum
日本名:菊菜
分類:キク科
原産地:地中海沿岸


菊の花は秋に咲く、というイメージがあるからでしょうか。春に咲く菊なので春菊というそうです。関西ではキクナというらしいですね。春になると、ほんとうに黄色い花びらの花が咲きます。八百屋さんや花屋さんではお目にかかれないので、育てた人だけが見ることのできるお花です。

春菊の原産地は地中海沿岸です。でも、ヨーロッパの人は食べません。もっぱら観賞用とか。あの香りが苦手なのだそうです。食用にするのは日本、韓国、中国、東南アジア。日本では、高麗菊(こうらいぎく)、無尽草(むじんそう)、不断菊(ふだんぎく)、薩摩菊、しん菊、ルソン菊、オランダ菊などなど、いろんな名前を持っています。無尽草、不断菊という名前は、いくら摘みとっても次々に芽が出てくるからついた、といいます。
菊は、古くから薬草として利用されてきました。その香り成分は、胃腸の働きを促し、タンを切る作用があるとか。花を食用とし、お酒も造ったそうです。摘んでも摘んでも出てくる春菊は、延命長寿のシンボルのように見えたのかもしれません。
栄養的には、ホウレンソウと並び劣らぬ緑黄色野菜。特にカロテンは、ほうれんそうや小松菜よりも多く、ビタミンB2、ビタミンC、カルシウム、鉄なども豊富に含みます。カロテンは、粘膜を丈夫にするので風邪にいい、というわけです。春菊は、生でも食べられるところがいいですね。鍋やおひたしにするときは、さっと湯がく程度で煮過ぎないこと。生のまま、カリカリベーコンの油をジャッとかけていただくのも、おいしい。
ところで、長年野菜を育てた経験から達した結論。めったに失敗せず丈夫で頼りになる…つまり楽チンで手間いらずの野菜はキク科とシソ科(シソ科の植物についてはまた後日)である。野菜に限らずお花でもハーブでもそう。キク科のお花には菊の花はもちろん、マーガレットやデイジーなどがあります。ハーブではカモミール、フィーバーフュー、タンジーなど。野菜では、レタス。ごぼうやフキもキク科です。そうそう、タンポポもヨモギもキク科です。

春菊は、葉の大きさや切れ込みによって、大葉種、中葉種、小葉種に分けられます。かつては、南から北へ、日本を北上するにしたがって、「大」「中」「小」の順だったといいます。いまは全国的に中葉が主流。それでも、関東の春菊は茎に葉がついている「株立ち型」、関西は茎がなく根から葉が出ている「株張り型」と違いがあり、もっと南のほう、岡山から九州に行くと大葉の「おたふく」菊菜。いまでも葉っぱの大きさは、南から北へほぼ大中小といっていいでしょう。ちなみに、香りもクセも葉が小さくなるほど強くなります。

春菊の苗が出回ることはありませんから、タネを買ってきます。タネまきというとむずかしそうですが、キク科は簡単。畑やプランターに、じかにパーッとまいて(バラまきといいます)、少し土をかけ(覆土といいます)、発芽までは乾かさないように注意します。芽が出たら、強そうなのを残しながら間引きしましょう。間引きした苗はみそ汁の具などにして食べてもいいし、移植にも耐えます。間引きは引っこ抜くより、弱そうなのを地際でハサミで切るほうが、根を傷めません。春菊は簡単で失敗なく育つ初心者向きの野菜。ぜひ、タネから育ててみてください。

・株立ち品種:穂先の10センチぐらいを摘む。わき芽もでてくるので、こまめに摘んで長く収穫。
・株張り品種:株ごと収穫。花がでてくると筋張ってくるのでその前に。
・タネまきと収穫の時期。一般的には、秋まきの冬採りです。
| 作型 | タネまき | 収穫 |
|---|---|---|
| 春まき | 3月〜4月 | 5月〜6月 |
| 秋まき | 8月〜10月 | 11月〜2月 |


←イラストは穂先を摘み取る株立ち型です。関東ではこれが主流。畑にいくたびちょっとずつ収穫できるので、株立ち型のほうが家庭菜園向きでしょう。

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