エンドウや、ソラマメも、もうおしまい。季節は夏へと向かっています。これからはインゲンのシーズンですが、この「インゲン」という名前、私はどうもしっくりこないんです。というのは、幼い頃、祖母がインゲンのことを「ササゲ」と呼んでいたから。で、私は、インゲン=ササゲなんだ、とずーっと思っていました。
こういうとき頼りになるのが、青葉高著「日本の野菜」。青葉先生によると、関西では、インゲンマメをササゲ(またはサンドマメ)といい、フジマメ(ひらべったくてフジの花のように房になる。石川県の伝統野菜)をインゲンというのだって。ああ、混乱。北前船によって関西の文化や食生活が伝わった日本海側は、ササゲというのかもしれない…。
でも、インゲンとササゲはまったく別の豆。「花図鑑野菜」(草土出版)によると、ササゲは「見た目も利用法もインゲンに似ているが、インゲンよりも暑い季節に実を結ぶ」。ササゲの原産地が熱帯アフリカとわかれば当然かも。ちなみにインゲンの原産地は中央アメリカといわれています。

学名:Phaseolus vulbaris L.
和名・漢名:インゲンマメ、インゲン、サンドマメ
英名:Garden Beans, Snap Bean, Kidney Bean
分類:マメ科サヤインゲン属
原産地:メキシコ南部、中央アメリカ
→紫色好きのわたしの畑に育っているのは、ちょっとめずらしい紫サヤインゲン。太くて美しいこの姿!残念ながら、ゆでると紫は濃い緑色になってしまいますが…。

インゲンの学名は、ラテン語で「莢(さや)が小船の」という意味です。姿形からの連想でしょう。日本には江戸時代に隠元禅師が伝えた、というのが通説です。
種をまいてから2カ月ほどで収穫できるうえ、種まき期が長く、あたたかい地方では1年に3回も収穫できるので、「サンドマメ」とも呼ばれます。
サヤインゲンは、つるのあるタイプ(Runner Beans、Pole Beans、French Beans)と、ないタイプ(Bush Beans)、さやの形で、丸いタイプと平べったいタイプに分けられます。丸い一般的なタイプは「どじょうサヤインゲン」、平ざやは「モロッコサヤインゲン」。
ちょっと前まで、サヤインゲンを料理するときには必ずスジを取らなくてはなりませんでしたが、最近はスジのないタイプ(ストリングレス)がほとんど。市場の9割がスジなしといいます。
つるなしのサヤインゲンはつるが出ないので、30〜50センチぐらいで成長が止まり、さやは地面につきそう。コンパクトに仕立てられ、鉢やベランダでも手軽に育てることができます。成長も結果も早くて短気な人でもOK。かわいい花が咲いて赤ちゃんさやが出来ていくようすは、なかなか楽しい眺めです。
つるありタイプは生育旺盛で、つるが長く何メートルにも育ちます。ちゃんと誘引してあげないと、こんがらかった糸のように収拾がつかなくなるので、要注意。
プロの農家が作るインゲンには、未熟のさやを野菜として食べる品種(サヤインゲン)と、完熟した豆を乾燥させて煮豆や和菓子に使う品種(インゲンマメ)があります。でも、私たちキッチンガーデナーのつくるインゲンは、若いうちはさやを食べ、豆がなったら収穫して食べ、残りは乾燥させて保存する。乾燥した豆はF1でなければ、翌年まくと芽が出る、というオールラウンドプレイヤー。こういう楽しみ方は、家庭菜園だけですね。
さらに、家庭菜園ならではの楽しみがもう一つ。豆がなったとき、半乾き状態がとても美味なんです!乾燥豆と違い調理の時間も短いし、おいしくて手軽な豆料理が楽しめるというわけです。
「御倉さん、アメリカのインゲンについてはわからないけれど、ササゲのつる先を食べてみて!東南アジアでは高級食材なのよ!」と教えてくださったのは、「マメな豆の話」(平凡社新書)の著者吉田よし子先生。先を摘心したつるが束になって売られているといいます。切り口がすぐに固くなり、端から5センチぐらいは食べられなくなってしまうそう。そんなところが珍重されるゆえんらしい。暑い国では鮮度保持がたいへんだからでしょう。「氷につけて持ち帰ったら大丈夫だったわ」。
よし!今年は、ぐるんぐるん育っていくサヤインゲンやササゲのつるを眺めていないで、食べてみよう!楽しみが増えました。各国の調理法などに出合えるのも、野菜の楽しさですね。

きちんと誘引してあげれば、つるありインゲンのアーチもできますね。わが家では、去年はゴーヤーとツルムラサキをネットに這わせましたが、ことしはそれに加えて、三尺ササゲ、フジマメなども育っており、緑のカーテン計画は、着々と進行中。ササゲなどはまだまけるので、「けごんの滝」のスダレでも作ろうかしら? 食べるのも大変ですが…。

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