10〜11月、ちょっと寒くなってくると、「いよいよだな!」という秋の楽しみがあります。さつまいも掘り?芋煮会?栗ひろい?いえいえ、それは、落花生の収穫。夏の間、こんもりと茂っていた葉っぱのてっぺんが黄色く枯れてきたら、お天気のよい日にエイ!とばかりに一気に抜いてみます。すると、出てくる、出てくる、殻付き落花生。おなじみの形が土の中から出てくるのは、ホントに不思議です。

学名:Arachis hypogaea L.
英名:Ground nut
分類:マメ科ラッカセイ属
原産地:中南米アンデス山脈のふもと
→たった一粒のマメが秋には大株となり、こんなにたくさんのサヤをつけます。落花生の収穫は、まさに「一粒万倍」という言葉を実感する瞬間です。

春のエンドウ、初夏のソラマメ〜インゲン、真夏のササゲ〜枝豆に続き、待ってました!の落花生。一年中続く豆リレーは、うれしいですね。
エンドウやインゲンと違い、落花生は土の中に実がなります。「落花生」という名前もまさに、「花が落ちて(実が)なる」という意味。実際は花がポトリと落ちて魔法のようになるわけではないですが、名前をつけた人は、そう感じたのでしょうね。
黄色くて素朴なカワイイ花が咲き終わると、そこからスルスルと子房柄(しぼうへい)と呼ばれるものが伸びて土にささり、土の中で豆のサヤができます。それを目の当たりに観察できるのも、自分のそばで実際に作ってみてはじめてわかる家庭菜園ならではの楽しみです。
株を一気に引き抜くと、まだこれから膨らんでくるものや、すでに立派な落花生になったものなど、成長度合いの違うマメが混在しているのですが、マメが小さく、まだサヤに模様がくっきりとついていない“赤ちゃん豆”が、たまらなくおいしいのです! これは、実際に育ててみての大発見でした。
赤ちゃん豆は日持ちがしないので、その日のうちにさっさとゆでて食べるのがイチバン。渋皮もまだできていない、プヨプヨした未熟な豆を食べることができるのは、初夏にタネをまいて育てていたからこそのご褒美です。私のオットも、「今年の落花生はまだ?」と心待ちにするほど、茹でた赤ちゃん豆が大好物。もちろん、ビールのおともとして(笑)。

サヤの模様もくっきりとして、十分に成長した落花生は、「殻付き落花生」としてお店で売っているものとまったく変わりません。野菜作りのマニュアルでは、畑で干してよく乾燥させるとありますが、この時期は秋雨も多く、せっかくの収穫が台無しになりかねません。こちらもさっさと収穫して、サヤのまま、とりたてをゆでるのが最高のごちそうです。
サヤと渋皮をむき、フライパンでいってバターで香りをつければ、自家製バターピーナツ。このとき、塩を入れていると焦げにくくなります。新鮮なとれたて落花生は、味も香りも香ばしさも、市販のものとはひと味違います。そのバターピーナツをさらにフードプロセッサーでくだき、バターやハチミツを加えて作る、自家製のピーナツバターもオススメです。ピーナツバターの作り方は、次のページでご紹介します。
自然にちゃんと乾燥させたものは、保存性がいいので、一年中食べることができます。ゆでたりいったりしなければ、そのマメ自体はもちろん「タネ」ですから、翌年まいたらまた発芽します(ただし、F1の品種もあるのでご注意を)。
こうして毎年落花生を育て、マメから発芽する様子を見守っていると、「ああ、私たちはマメの生命力をいただいているんだなぁ」という気持ちが湧いてきます。特に、スプラウトにしてちょうどモヤシのように発芽した状態のもののスーパーでも見かけるようになりました。生命そのものっていう感じですね。落花生にはビタミン類(特にビタミンE)、たんぱく質、脂質、炭水化物、食物繊維もあって、まるで自然のサプリメント。ありがたくいただきたいものです。そうそう、最近、落花生の渋皮に健康成分が発見されたと聞きました。バタピーやピーナツバターを作るときはむいてしまいますが、できれば渋皮ごと食べたほうがカラダにはいいようです。
落花生の別名は、「ピーナツ」。ピー(Pea)は「豆」、ナッツ(Nut)は「かたい木の実」の意味だそうです。いかにもアメリカ的な響きですよね。
アメリカ人の子どもに、「サンドイッチの具といえば?」と聞くと、必ず「ピーナツバター」と答えます。「大好物は?」と聞くと、「ピーナツバターにジェロー!」。ブドウ風味のゼリーのようなジャムをピーナツバターと合わせたサンドイッチで、甘い甘い。でも、子どもたちには大人気。アメリカのお母さんがたのお弁当作りはなんて簡単なの…と、うらやましくなります。

ちなみに、スヌーピーが登場するアメリカの漫画のタイトルも『ピーナッツ』。このおマメが、国民的に愛されているのがよく分かります。
日本でピーナツといえば、柿の種か、ソントンのピーナツバター、または懐かしい双子のデュオ、「ザ・ピーナッツ」がおなじみでしょうか?その歌は、団塊の世代には永遠のレパートリーですね!ピーナツをいっている時、ついつい口ずさんじゃうんです(笑)。

近くで育てなければならないズッキーニやオクラとは違い、落花生は植えてしまえば比較的手間いらず。毎週畑に行かなくてもよいので、ラクチンなところも魅力のひとつです(ジャガイモやネギ、ニラなども、手間いらずなほうです)。
落花生は発芽期に鳥にやられなければ、もうあとはほったらかしでOK。種まきは、5月〜6月。高さも幅も40cm〜60cmぐらいに成長し、畑の縁取りや、表土の乾燥を防ぐ役目も果たしてくれます。
スッと伸びてあまり根の張らないオクラとの混植は、偶然にも大成功でした。
落花生は高温乾燥を好むので、ベランダで育てるのにも適しています。ただし、子房柄がもぐっていくところは、フカフカな土にしておくこと。袋や鉢で栽培するときは、土の部分にささっていくように誘引してあげましょう。



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