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――カメラはいつから?
昭和40年代、中学生のときでした。当時は鉄道がブーム。私もご多分にもれず蒸気機関車のとりこになった。学校の写真クラブに入り、SLを撮るために全国各地を旅しました。最初に買ったのはコニカのオート、2台目はオリンパスペンF。さらにフルサイズで撮りたくなって、ニコンF。計3台のカメラを使いました。でも、10代後半になると舞台の仕事が忙しくなり、しばらく写真からは離れてしまった。再開したのは、ずいぶん後になってからです。

――きっかけは何ですか。
5〜6年前、歌舞伎座の建て替えが決まりまして、役者の目で見た歌舞伎座を写真に残しておきたいという意欲がわいてきた。キヤノンPowerShotG9で撮りはじめたのですが、なんとなく写りがしっくりこない。文句なしによく撮れ、失敗もないんですが、もう一つもの足りない。で、昔のフィルムカメラを使ってみようと、劇場から歩いてすぐの「スキヤカメラ」に行った。店長に相談にしたら「せっかく銀塩で撮るなら、ライカで」ということになり、中古のM6TTLを買いました。TTL式だと、距離計さえ合っていれば何とかなる。中古で値段もこなれてましたし、父(人間国宝・中村雀右衛門)が「歌舞伎座を撮るなら」といって費用の一部を出してくれたんです。舞台に出ている身だから四六時中撮っているわけにはいかないけれど、結局300枚くらいは撮ったかな。楽屋の役者仲間とか、床山、衣装など裏方さんの部屋にまで押しかけました。(笑)
――ライカの使い心地は?
デジタルと明らかに違うのは、その柔らかい写り。ピントがぴったり来ているのに、画に優しさがある。その後もM3、M4、M5と、いろんなライカを試して、「ライカのよさはレンズだ」とわかった。ライカのレンズって、味わいがちゃんとある。そこがいい。それにほかのカメラだと、規格が変わると古いレンズが使えなくなるけど、ライカは基本的に昔ながらの部品でもそのまま使える。時代を超えて使える商品というのは、そうはないでしょう。伝統芸能に携わる者として、そういうところにも魅了されました。

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