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時代とデザイン

1957年から1966年の時代背景とグッドデザイン賞 出会うモノ全てが驚きの連続だった

1957-66 History

Time 01

シンデレラロマンスにあこがれた

1957年、グッドデザイン賞が始まった年、日本初の観測用ロケット「カッパーC4型」の打ち上げに成功。ソ連では、世界初の人工衛星「スプートニク」が打ち上げられ、人々の目は宇宙へと広がった。1万円札が発行された1958年、東京タワーが完成。テレビ時代の幕が開く。1959年4月10日の皇太子の結婚パレードを見るためにテレビ受信契約が200万台を突破。女性たちはプリンセスロマンスを夢見る。子供たちはスーパーマンに、少年は西部劇に熱中した。

The Design Scene 01

日本のデザインがいっせいに花開いた

欧米製品の模倣(もほう)からスタートした日本の戦後復興も、50年代半ばには、企業内デザイン部門の開設や日本インダストリアルデザイナー協会の設立など、商品におけるデザインの重要性が認識され始めていた。グッドデザイン賞が設けられた1957年から60年代の初期には、カメラ・腕時計などの精密機械から、スーパーカブに代表されるバイク、スバル360などの自動車、ソニーのトランジスタラジオ・テレビなどの家電品に至るまで、コンパクト・シンプル・モダンという、今日に至る日本デザインの基礎が築かれていた。

Time 02

ビートルズがやって来た

マリリン・モンローが謎の死を遂げた1962年、スーダラ節で無責任時代に入る。「スキヤキソング(上を向いて歩こう)」が、米国で100万枚を突破した1963年、日米間初のテレビ衛星中継の実験放送から、ケネディ暗殺のニュースが流れる。日本が10個の金メダルにわいた1964年の東京オリンピックを機に、新幹線、都市高速、1965年には名神高速が開通し、高速輸送とモータリゼーション時代を迎える。1966年、3C(カラーテレビ・カー・クーラー)が新三種の神器となり、ビートルズがやって来た。

The Design Scene 02

東京オリンピックで、自信を取り戻した

1964年の東京オリンピック開催は、戦後、急速に復興を遂げた日本を世界にアピールする大舞台だった。成功に向けて、工業界、産業界、建設業界、メディアは言うに及ばず、デザイン界も総力をあげた。まさに国力の集大成というべき祭典だった。総合体育館や武道館、公式ポスターや施設ピクトグラムなど、そのすべてが自信に満ちあふれていた。このころから、日本を全面に打ち出したデザインの商品が登場する。

1957-66 グッドデザイン賞受賞商品

監修:森山明子・武蔵野美術大学教授

日本のデザインの、メインが出そろった時代

通商産業省「グッドデザイン商品選定制度」がスタートした1957年以降は、工業デザインの名品が続々と登場した時期。この時代の受賞商品は、日本固有のオリジナリティーがあり、人の生活を豊かに快適にするというグッドデザイン思想の視点から選ばれたものです。

1958年 電気釜
RC-10K

株式会社東芝
デザイナー:同社 岩田義治

「ごはんを炊く」という、日本の生活環境から生まれたオリジナリティーある優れたデザイン。社会進出をはじめた女性の家事労働に貢献。

1958年 扇風機
デルタ型FDS-2557

富士電機株式会社
デザイナー:皆川正

デザインのミニマリズムが、工数削減と輸送のコストダウンをもたらした。明るく軽快なフォルムは、当時の日本の世相そのもの。

1958年 AMラジオ
TR-610

ソニー株式会社
デザイナー:同社 技術部

小さなボディに大口径スピーカーを配したデザイン。真空管からトランジスタへの技術進化を世界に示したソニー初の国際商品。

1961年 醤油注
G型しょうゆさし

白山陶器株式会社
デザイナー:森正洋

液ダレを防ぎ、持ちやすく、安定も良いという性能を追求。和の生活とモダンデザインが調和する、時代を超えたロングセラー商品。

1963年 ガラス製灰皿
44090-AMB,GSM

東洋佐々木ガラス株式会社
デザイナー:同社 商品開発部 竹内伝治

高度なプレス技術などの総合的革新技術とデザインが、重量感あふれる雰囲気を素直な線で表現した、モダンなガラス製灰皿。

1964年 トランジスター式ステレオ
SE-200/飛鳥

松下電器産業株式会社
デザイナー:同社 ステレオ事業部 デザイン室

東京オリンピックの年に受賞した、飛鳥。当時のデザインテーマであった「日本的美とモダンデザインの調和」を追求した代表的事例。

1964年 ファイル
Gファイル

株式会社キングジム
デザイナー:平野拓夫

企業経営の近代化を背景に、それまでの古めかしい帳簿から脱却し、利便性と明るさをもたらしたオフィスデザイン戦略の原点。

1965年 電気掃除機
ハイクリーンD/MC-1000C

松下電器産業株式会社
デザイナー:インターナショナル工業デザイン

日本家屋での使い勝手を考慮したスタイリングと、プラスチック素材を家電のスタンダードにした日本インダストリアル史に欠かせぬ名品。

1966年 一眼レフカメラ
ニコンF

株式会社ニコン
デザイナー:同社 カメラ設計部+亀倉雄策

日本製品の優秀性を示す数々の神話を生んだ一眼レフ。技術者たちの美意識と亀倉雄策氏のデザインが融合した日本工業デザインの逸品。

1966年 リビングチェア
ラタンチェアC-315

山川ラタン株式会社
デザイナー:剣持勇

ラタン素材を編み上げ、まろやかな曲面に構成したリビングチェア。剣持勇氏の感性で、ニューヨーク近代美術館コレクションに選定。

1966年 スツール
バタフライスツール

株式会社天童木工
デザイナー:柳宗理

高周波成型合板が、2個のボルトと1本のステーによって組み立てられた。日本らしい柔らかな造形美を持つ単純明快なデザイン。

1966年 金属洋食器
No.1100

小林工業株式会社
デザイナー:産業工芸試験所

理想的なハンドリングを求めて、500人のモニターテストを行ない、徹底的な機能性を追求して生まれたグリップ部中空成形のデザイン。

森山明子氏プロフィール

武蔵野美術大学教授、グッドデザイン賞審査委員(2002-04年審査副委員長)。東京芸術大学美術学部芸術学科卒業後、特許庁意匠審査官などを経て、1986年日経マグロウヒル社(現:日経BP社)に入社。「日経デザイン」の創刊に関わり、同誌編集長を経て、1998年より現職。

参考資料『100のデザイン、100の物語』

編集協力:財団法人日本産業デザイン振興会

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