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時代とデザイン

1967年から1976年の時代背景とグッドデザイン賞 神様が日本にやってきた

1967-76 History ジーンズをはいて、自由を求めた。

Time 01

闘争が終わり、月のカケラと出合う

ツィギーがミニスカートで来日した1967年、大きいことはいいことだを合い言葉に、昭和元禄という大型景気の時代を迎える。1968年、ニューヨークでウッドストックが開催され、原子力空母エンタープライズが佐世保へ入港。東大安田講堂が陥落した1969年、アポロ11号が人類初の月面着陸に成功し、1970年の大阪万国博覧会で6500万人が月の石と出合う。1971年、アンノン族と呼ばれる若い女性たちが、日本の古都に出現し、日本マクドナルドとカップヌードルが誕生した。

The Design Scene 01

音と光の映像の大阪万博開催

マイカー時代が到来、熾烈(しれつ)な市場競争を展開した。1968年には、トヨタがCADシステムを導入。さらに「白いクラウン(トヨタ)」、「愛のスカイライン(日産)」の広告で、上級車の個人需要拡大を狙った。黒川紀章・粟津潔・石井幹子・寺山修司によるアンチモダンのハイパーモダンな「スペース・カプセル」、磯崎新プロデュースの「空間から環境へ」展など、新しい空間デザインが登場。1970年、岡本太郎の「太陽の塔」をシンボルとした「大阪万博」で、巨大マルチスクリーンやレーザー光線を駆使、音と光と映像のパビリオンとして花開いた。

Time 02

銀座のネオンが消え、
キミに差し出す傘がない

沖縄が日本に返還された1972年、日中国交が回復し、パンダがやって来た。札幌オリンピックでは日の丸飛行隊が活躍。ベトナム和平協定が調印された1973年末、第4次中東戦争が勃発(ぼっぱつ)。日本をオイルショックが襲い、主婦がトイレットペーパーを求めてスーパーに殺到、銀座の灯が消えた。1974年、長島茂雄が引退。1975年に沖縄海洋博が開かれ、350万人が訪れた。ロッキード事件が表面化した1976年、モントリオールオリンピックに妖精コマネチが現れ、宅配便サービスがスタートした。

The Design Scene 02

一気に無駄を脱ぎ捨てた

オイルショックの最中、1973年に国内発売された本田技研のシビックは、当時、世界一厳しいといわれた排ガス規制「米・マスキー法」をクリアした低公害型のCVCCエンジンを搭載して登場。世界の自動車界を驚かせた。1974年に松下電器が「愛のエプロンシリーズ」を発売。家電アイテムをトータル・カラー・コーディネイトで販売することを提案。1975年、ソニーがベータ方式、翌年にビクターがVHS方式の家庭用VTRを発売。ビデオ戦争が始まった。

1967-76 グッドデザイン賞受賞商品

監修:森山明子・武蔵野美術大学教授

「あらゆるモノにデザインがなされ、生活が美しくなった

EXPO'70の開催を中心としたこの時期、自動車・家電などの工業製品ばかりでなく、空間まで含めて、デザイン活動が活発であり、変動相場制移行、石油ショックをなんとか乗り切りました。グッドデザイン賞を彩るものは、なぜだか小物たちが多いのですが、これは、こんなに身近な生活まわりにもデザインがなされ始めたという、時代の象徴でもあります。

1967年 オートバイ
CS90

本田技研工業株式会社
デザイナー:同社

ティアドロップ型燃料タンク、タンデムシートを装備。90ccの小排気量バイクでありながら、モノコックフレームを採用したスポーツモデル。

1967年 テープレコーダー
TC-100

ソニー株式会社
デザイナー:同社

それまでのオープンリールから、カセット式に転換した初期型モデル。トランジスタの採用で、2ウェイ電源・長時間録音を可能にし、録音機を身近にした。

1969年 タイマー付置時計
TK-100

日本電気株式会社
デザイナー:木村宏

デジタル時計が普及し、角型のデザインが多い中、球形を取り入れたデザイン。デジタルでありながら、アナログ的雰囲気を持つ卵形デザインの草分け的存在。

1969年 ステープラー
マックスホッチキスHD-10D

マックス株式会社
デザイナー:同社 開発本部デザイン課

オフィスの作業環境にも目が向けられた時代。目立ち過ぎず、カラフルな色彩と耐久性・操作性を重視し開発されたデザイン。ホッチキスは、この商品の代名詞になった。

1969年 鉛筆削器
カスタムcc-2000手動S-1型

カール事務器株式会社
デザイナー:同社

ABSと亜鉛ダイキャストを使用。丈夫さを実現すると共に、独自のデザイン性を発揮し、家庭や学校で広く使用された鉛筆削器の定番。

1970年 しょうゆ差し、塩・コショー入
S2015 C2003

HOYA株式会社
デザイナー:同社

クリスタルガラスを素材にした、卓上調味料入れ。モダンなデザイン形状と、ガラス特有の光沢が、高品質感と清潔感を両立させている。

1973年 レコードプレーヤー
Technics SL-1200

松下電器産業株式会社
デザイナー:同社

ダイレクトドライブモーターを採用したプレーヤー。回転盤に施されたデザインとシンプルな外観で、アナログ支持層ばかりでなく、ミュージシャンのサウンドツールとなった。

1974年 カッター
万能L型

オルファ株式会社
デザイナー:同社 企画部

視認性・安全性に加え、親近感を覚える黄色のカッター。刃の折れ角からサイズまで、世界の基準となった、日本が生んだ世界の一品。

1974年 事務鋏(はさみ)
アレックスシリーズ

林刃物株式会社
デザイナー:ユニデザイン 渡辺篤治

ステンレス鋼板をプレスして作るという、合理的で画期的な生産方式により、開発・デザインされ、事務用の身近な商品にデザインが導入されるきっかけとなった。

1975年 モジュラーステレオ
MS-W5

日本ビクター株式会社
デザイナー:インターナショナル工業デザイン株式会社+同社 デザイン部

ターゲットをセグメントしたデザイン開発が主流の中、特定のターゲットを選定せずにデザインしたことで、プレーンでやさしいフォルムとなった。

森山明子氏プロフィール

武蔵野美術大学教授、グッドデザイン賞審査委員(2002-04年審査副委員長)。東京芸術大学美術学部芸術学科卒業後、特許庁意匠審査官などを経て、1986年日経マグロウヒル社(現:日経BP社)に入社。「日経デザイン」の創刊に関わり、同誌編集長を経て、1998年より現職。

参考資料『100のデザイン、100の物語』

編集協力:財団法人日本産業デザイン振興会

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