無心に土をひねっていると、時間のたつのも忘れてしまう。
どうやら人は土と向かい合っていると、我を忘れて集中できるようなのだ。
そんな理由から、陶芸を習い始める「どらく世代」が増えている。
週一回、丸一日、陶芸教室にこもって作品づくりをする姿を追った。

松野美紀先生
(まつの・みき)
友人宅で手づくりの食器で食事をふるまわれて感動したのが、九炉土(くろと)陶芸を習い始めたきっかけ。陶芸指導プロを養成する塾に進み、3年前から講師を務めている。生徒の持ち味を引き出してくれる先生とファンが多い。第35回女流陶芸展入選。


中原達也さん
(なかはら・たつや 58歳)
自分のやりたいことを極めたいと、55歳で広告会社を退職。日々、翻訳や陶芸の腕を磨きながら、自分や家族を大切にするライフスタイルを実践中。ダイナミックな作品が多いが、実は土や釉薬(ゆうやく)の特徴を緻密(ちみつ)に計算。次の作品では、さじ加減の難しい亀甲釉(きっこうゆう)に挑戦予定。



「50代になって、会社のしがらみとは関係ない趣味を始めたいと思ったんですね。もともと、ガラスや磁器と違って、土の風合いが残っている陶器が好きでしたから。だったら自分でもつくってみようと陶芸教室を探し始めたんです」と、中原さん。
ほとんどの陶芸教室の授業開始は平日の6時から7時の間。当時、広告会社に勤めていたので、授業は間に合わない可能性が大きいし、土・日も付き合いが多い。中原さんが通える陶芸教室はなかなか見つからなかった。
「陶芸雑誌などでいろいろ調べて、通信講座があるってわかりました。これなら時間を気にせず、自分のペースで学べるだろうと、通信講座を受けてみることにしたんです」
どらく世代がなかなかお稽古を始められないのは、仕事が忙しすぎるから。何かを始めようと思ったとき、中原さんのように通信講座で様子を見てみるのもひとつの方法だ。
通信講座で陶芸のおもしろさを知った中原さんは、その後、時間をやりくりして教室に通うようになった。

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「陶芸に必要な道具は、すべて教室にそろっています。粘土で服が汚れるので、エプロンを持参されるといいですね」と、講師の松野さん。まったくの初心者を対象とした「初級コース」では、初回はやきものができあがるまでの工程や、必要な道具と技法の講義で流れをつかみ、半年間かけて湯飲みやコーヒーカップなど実用的なものをつくりながら、基礎技術を学んでいく。 |
![]() | 絵付け用の
筆やブラシ。 |
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削り出しのための道具。 成形を終えた作品は分厚かったり、 出したかったカーブでなかったり しているので、半乾燥させてから、 こんな道具で土を削っていく。 |
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