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ゆったりとした太極拳の動きは気と血の流れを整え、
ストレスで疲れた身体を癒してくれる。
シニア向けの健康体操のイメージがつきまとうけれど、
実は中国の皇帝も身につけたという、貴人のための究極の武術なのだ。

地曳秀峰老師
(じびき・ひでみね)
中国武術界の偉人、王樹金老師から終南門の奥義を受け継ぐ日本での正統継承者で、攻撃と防御のすべての型が隠されている「正宗太極拳(せいそうたいきょくけん)」の第一人者。小柄かつ79歳というお年ながら、師の指先がちょっと触れた瞬間、大柄な男性が吹っ飛ぶさまは驚愕(きょうがく)。全日本柔拳連盟会長・日本中華武術誠明会・日本中華国術総会会長。


中里高一さん
(なかさと・たかいち 57歳)
電機メーカーに勤務するエンジニア。最近増えてきたウエストまわりのぜい肉と、体力・視力の衰えがもっかの悩み。身体に負担をかけずに健康を保つため、昨年8月から正宗太極拳を習い始める。現在、正宗太極拳の99ある型のうち41番目まで進む。勤務先の埼玉・川口から、東京・渋谷の本部に通うほど熱が入っている。


「若いころからスポーツが大好きで、ずっと野球を続けてきたんですよ。けれど、50代も半ばを過ぎると、目が弱ってくるんですね。ボールがよく見えなくなってきたし、体力的にもだんだんついていけなくなっていたので、何か別の運動を始めたいと考えていたときに、思いついたのが太極拳でした」
中里さんは仕事柄、中国、台湾、香港に出張することが多い。現地でよく見かけたのが、公園で太極拳を楽しむ同世代の人たちだった。
「中国文化そのものに興味がありましたし、太極拳は身体に非常によいと言われているじゃないですか。それに動きがとてもゆっくりしていますから、腰や膝などの負担も少ない。50代後半になった自分にぴったりな健康法だと習い始めたんです」
中里さんは小さめのスポーツバッグにTシャツとスポーツウエアのパンツにカンフーシューズを持参。「はきやすくて木の床を傷めない運動靴なら何でもいいんでしょうけど、カンフーシューズだと太極拳をやっているって気分に浸れますからね」。同じクラスの生徒たちをみると、みんな思い思いの格好をしている。太極拳は新しい道具をそろえる必要はまったくない。自宅にある動きやすい服さえあれば始められる。





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