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大人のお稽古

感じたことを自分の言葉で伝えたい 「自分」を表現するエッセー講座 人生経験が味のある文章を生む

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いよいよ講座スタート

「起・承・転・結」がないと読者は読みたいと思わない
講座では文章表現に必要なテクニックを教える

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歯切れのいいトークで、文章表現のコツを説明していく辻先生。重要なキーワードはホワイトボードに書いてくれる。

「起・承・転・結」

辻先生は講座が始まったとたん、ホワイトボードにこの4文字を大きく書いた。

「どんな文章でも、最初の300〜400字ぐらいは読んでもらえるんです。けれど、起・承・転・結がない文書を読者はそれ以上は読みたいとは思いません。文章を書きたいならば、常に読者を意識しましょう」

今回は1回限りのエッセー講座なので、辻先生は一番身につけなければならないテクニックから説明する。

起で、この話はこれくらいの長さで行くんだな…と読者をひきつけ、「承」で、じわじわとストーリーを盛り上げていく。

「たとえれば、富士山と北アルプスの違いですね。富士山は眺めるにはいいけれど、登る人にとってはルートが単調だし頂上が見えてしまうから面白くない。けれど、北アルプスは少し登っただけでまったく違う景色が広がる。だから面白い。文章も同じなんです。わかりきったことを書いていたら、読もうという気持ちがおこらないんですね」

転はクライマックスで、作品の一番の山場だ。

「そのコツは、クライマックスで盛り上げる前にクライシスを挿入しておくこと。クライシスという谷を掘っておくと、高低差がつき、強い印象を残せます。そして迎える結。こうやって読ませる文章は作られていくわけです」(辻先生)

錦見さんコメント

「起・承・転・結」の話を聞くことができたことは大収穫。メモは書き続けているけど、それは言葉の断片に過ぎませんからね。伝えたいこと、わかって欲しいことを文章化し、物語としてひとつの表現をする方法の一端がわかりました。エッセーにもきちんとしたルールがあるんですね。

それと、辻先生の「読者に発見を与えないと」という言葉を聞いて、「ああ、自分が書こうと思ったのは、間違ってなかった」と、確認できたのもよかったです。気づいたことや感動したことがあるから、それを文章にして、伝えたいという気持ちが高まるんですね。

課題エッセーの講評。今回のテーマは「時間」

他の受講者の作品の講評を聞いて、表現方法やテクニック
読み手の「共感」や「発見」を学ぶ

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自分ひとりだと読み飛ばしてしまうのに、講評を聞きながらだと、新しい発見がある。

講座開始前に配られるのは、受講者が書いた課題エッセーのコピーの束。他の人の作品をみんなで読みながら、エッセーの表現方法やテクニックを学んでいく。今回のテーマは「時間」。同じテーマでほぼ同じ長さなのに、生徒の作品は、切り口、文体、展開のしかたがまったく違う。

「この『毛先まで何ヶ月?』を書かれた方はどなたですか? このタイトルはいいですね。時間というテーマなのに、なぜ髪の毛の話なのかと疑問がわくから、読者は続きを読もうという気持ちになります。ただ、終わり方が唐突すぎる。論理的な裏づけがないので、作者が何を言いたいのか、きっと読者にはわからないでしょう」

辻先生は書いた人にいくつも質問し、書きたかった意図や表現にこだわったことなどを聞き出しながら講評を進めていく。このやり方だと、クラス全員で文章表現上達のポイントや、注意するべき独りよがりな表現などを共有できる。

「雑誌や新聞に書かれた文章は不特定多数の人に向けて書かれています。文章が与える影響力を考えると、何を書いたらいいか、みなさんは戸惑ってしまうかもしれません。けれど、エッセー講座で書く文章は、同じクラスの仲間という特定多数に向けて書く。だから読ませよう!とペンに力が入るので、文章を書く力が伸びるんです。これが文章教室の最大のメリットです」(辻先生)

錦見さんコメント

他の受講生の作品はいい参考になりました。プロ以外の人の文章を読む機会なんてありませんから。特に、70代の方の作品を読んで、「ああ、僕にはこんな表現はできないなぁ…」と感心しました。実に語彙(ごい)が豊かで、私にはできない表現がたくさんあるんですよ。また、同じテーマでも、文章になったものを拝読させてもらうと、人それぞれ、まったく違う感性があるんだとわかる。当たり前のことですけど、そういう様々な感性に触れると、自分の文章表現も広がると思いました。

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先生が講評した部分にラインを引き、いい点・悪い点の理由をメモ。

いよいよ錦見さんの作品の講評

「時間」という抽象的なテーマを、感覚的な文章で表現
構成や表現はまずまずの評価を受けた

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「時間を擬人化し、キレのある文章。終わり方もいい」と、辻先生から評価を受けた錦見さんの作品。

講評の最後が錦見さんの作品だった。エッセー教室に初参加の錦見さんは、実に楽しそう…。

「なかなかいい始まり、起ですね。<どんな形をして、どんな色で、どんな匂いで、触れた人もいない>…時間をこういう切り口でとらえたのが新鮮。感覚的な広がりを感じさせる文章です」と、辻先生。

「ただ、段落始まりは一文字落として書くこと。文章表現の形式は自由になってきましたが、不思議にこのルールは変わっていません」

小学校、中学校で作文を学んだのは遠い昔。基本的な文章作法はマスターしておかないと、投稿や賞に応募しても採用されにくい。

「紋切り型の表現は面白味がない。こう書かないと、ではなくて、思ったこと、感じたことをまずは素直に書いてみる。ここから始めましょう」と、辻先生は文章を書く、とっかかりの見つけ方も、さらりと説明。エッセーを書き始めた人への、大きなヒントになる。

錦見さんコメント

辻先生からそれなりの評価を受けたのはうれしかった。人前でほめられるのは、照れくさいものでしたけれど。

また、基本的な文章作法の間違いを指摘してくれたのがよかった。表現方法の決まりみたいなものを知りたかったんです。先生が話した、読者が反応するポイントも非常に参考になりました。たとえ自著を出版したとしても、読み手側のルールを知らないと、結局は読んではもらえませんし、たとえ読んでもらったとしても、がっかりされてしまいますよね。

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