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大人のお稽古

ヨーロッパの倫理思想をじっくり読み解く 「善」とは何かを考える哲学講座 カントは今もなお、我々に生きる知恵をもたらす

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今、哲学の講座の人気が高まっている。
世の中が多様化している分、何をもって善とするのか、
あるいは、社会をどうとらえるかの土台がぐらついているからかもしれない。
そこで、日本を代表するふたりの哲学者が講師を務める
ヨーロッパの倫理学の枢要である、カントの「実践理性批判」を学ぶ講座を訪問した。

講師プロフィール

竹田青嗣先生

竹田青嗣先生
(たけだ・せいじ)

1947年大阪生まれ。在日韓国人二世。早稲田大学政治経済学部卒業。明治学院大学国際学部教授を経て、現在、早稲田大学国際教養学部教授。哲学者、文芸評論家。在日朝鮮人であることを思想の出発点にしながら、民族、共同体などの帰属性を超える原理を探求。現象学、プラトン、ニーチェをベースに、哲学的思考の原理論としての欲望論哲学を展開している。著書に「現象学入門」(NHKブックス)など。

西研先生

西研先生
(にし・けん)

1957年鹿児島県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了。学生時代から小阪修平、竹田青嗣両氏らと哲学の勉強会を続ける。和光大学、朝日カルチャーセンターなどで哲学を教えつつ、執筆活動を行う。2003年より京都精華大学社会メディア学科教員。哲学を一人ひとりが深く考えるための技術として「再生」することを目指す。著書に「哲学的思考―フッサール現象学の核心」(ちくま学芸文庫)など。

生徒さんプロフィール

磯岡豊さん

磯岡豊さん
(いそおか・ゆたか 60歳)

理系大学院を卒業後、メーカーに就職して主に技術畑を歩む。両親を見送り、子どもたちも独立したことから、55歳で早期退職。大家さん業を営みながら、2002年10月より、竹田先生と西先生が講師を務める哲学講座に参加。最初は、先生とセミナー参加者の間の質疑応答の内容を聞くのがやっとだったが、ヘーゲルやフッサールの難解な文章と格闘するうちに、近ごろでは哲学の深さと面白さを堪能できるようになった。

講座に参加したきっかけ

高校生のころから関心があった哲学を
セカンドライフでは納得のいくまで追求したかった

1泊2日哲学セミナー合宿 プログラムイメージイメージ写真
大人気の合宿は、年を追うごとに参加者が増えていて、会場のホテルだけでは部屋が足りず、近くのホテルに分宿するまでに。

「僕は全共闘世代。ご多分にもれず、大学時代の友人たちはマルクスやヘーゲルの思想をもとに理屈をこねていたのですが、横で聞いている僕にはその理屈がさっぱりわからなかったんです。大学院を卒業した後も、日々、暮らしている中でいろいろな疑問を感じているのに、サラリーマン時代は、こうした疑問を突き詰めて考えることなく持ち越してきてしまいました。それで、自分のためだけに時間を費やせるようになった退職後は、物事の本質を納得のいくまで考えたいと、哲学を学ぼうと心に決めていたんです」と、磯岡さん。退職後に哲学の本を読みあさっていたとき、竹田青嗣先生の著書「はじめての現象学」に出合った。

「こんなにわかりやすく哲学を説く、すごい先生がいるんだと本当に驚いたんです。それまで読んだ本は、正直、何を言っているのかさっぱりわからなかった。この体験からどうしても竹田先生の下で学びたくて、探し当てたのが朝日カルチャーセンターでの竹田先生の哲学講座でした」

こうして4年前から磯岡さん念願の哲学三昧(ざんまい)の日々がスタートした。

「この講義(今期は『ヨーロッパ倫理思想「枢要テキスト」の講読』)で特筆すべきは、合宿があること。月1回、土曜日夕方からの講義ですが、半期に1回、1泊2日の合宿が行われるんです。合宿では先生おふたりと深夜まで、酒を飲みながらフリーディスカッション。これが、まさに哲学する時間。哲学をみんなに広めたいという先生たちの熱意が伝わってきて、本当に楽しいんです」

必要なのはテキストとなる哲学書と筆記用具
それと、事前に読み込むための時間

哲学や現代思想を少しでもかじった人ならば、竹田先生と西研先生のダブル講師でカントの著作を講読できることの価値がわかるに違いない。両先生とも、今の日本を代表する気鋭の哲学者。実際に難解ではあるけれど、必要以上にそう思われている哲学への理解を促すために、大学の講義をしのぐほど力の入った授業を行っている。

講義は哲学書を章ごとに読み解きながら進められる。今回のテキストはカントの「実践理性批判」(岩波文庫)だった。まず参加者が自作のレジメ(講読する章の概要をまとめたもの)をもとに発表し、それを講師ふたりが詳しく解説するというゼミナール形式。その際に、講師の手による<完全解読のためのレジメ>も配られる。両先生のレジメを読むと、何度読んでもわからなかった文章が、するすると理解できるから驚きだ。どんなに難解な哲学書でも、受講生全員が理解できるような工夫がなされている。

準備するもの

  • 今回のテキスト カント「実践理性批判」(岩波文庫)
  • 筆記用具
  • 発表する参加者は、担当する章のレジメ
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