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大人のお稽古

茶室は武家のサロンだった 男の茶道教室 遠州流の「綺麗さび」に触れる

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いよいよお稽古スタート

客の目が届かない水屋で
点前の準備を丁寧におこなう

宗長先生の「男性のための茶道入門」は決められた時間に一斉に稽古が始まるわけではない。生徒たちが思い思いの時間に集まってきて、順番に稽古をつけてもらう仕組みだ。中村さんも何人かの仲間の稽古の様子を見学し、薄茶をいただいてから順番がまわってきた。

まずは水屋で丁寧に茶道具の準備を行う。茶碗に茶巾(ちゃきん)、茶筅(ちゃせん)、茶杓(ちゃしゃく)を仕組んで、お稽古に臨む。

すべての道具を清めて茶室に持っていく。この準備もすべて手順が決まっている。

中村さんコメント

稽古をつけてもらうために準備をするうちに、これからの点前に気持ちが集中していくんですよ。水屋での時間はもてなしのための大切な時間なんです。点前には細かい規則や形があって、順番どおりに自然に体が動くようになるには1年かかりました。考えずに動けるようになってわかったのですが、実に理にかなっていて無駄な動きがないようになっていると、準備をしていて改めて感じます。

茶室に入って点前を開始

扇子を居前に置いてあいさつ
気持ちが引き締まる瞬間

稽古に来て茶席に入ってまずすることは、床の間の掛物に対する一礼だ。礼を尽くすのが茶道であり、物に対して礼をすることに違和感を覚えるかもしれないが、掛物を書いた高僧や家元の教えを受けるという気持ちの表れである。再び茶道口を出て「お稽古、よろしくお願いいたします」と、扇子を居前(いまえ)に置いて、あいさつをしてから稽古が始まる。

「お茶を一服差し上げます」続いて、炉の前に座って茶をたてる。袱紗の使い方、柄杓(ひしゃく)の持つ位置なども細かく決められているが、どれも理にかなったもの。宗長先生は多少間違っても厳しくしかったりはしない。まずは点前の大きな流れを身につけさせ、点前の法則を体で感じることから指導を始める。

中村さんコメント

完璧な点前を目指して、求道者のように茶道を究める人もいるでしょうが、宗長先生の教室は違うんですよね。なんというか、茶席の<場>というものが何かを教わっているような気がします。点前をするときは緊張し、客をつとめるときはリラックスして茶の味と会話を楽しむ。緊張の緩急と、流れとタイミングを読みながら動くのが面白いし、心地良いんです。

一礼をして茶席に入る。これから中村さんの点前が始まる。
宗長先生から道具の置く位置、持ち方などの指導が入る。決められた作法にはすべて意味があり、美しい所作を引き出す。

客役の仲間に茶をふるまう

「お茶を一服差し上げます」と教室仲間に薦める
茶会の楽しみは、ふるまう側の亭主にあり

点前を習うのは、亭主として茶をふるまえるようになるためだ。茶会の楽しみは「亭主七分に客三分」と言われるのは、もてなされた客の喜びを自分の喜びとするのが茶の湯の精神だから。

この「男性のための茶道入門」は今年で10年目。開講にあたって、宗長先生は家元から「細かい作法より、お茶の楽しさを伝えてきなさい」と言われたという。

「茶席はもともとサロンのようなもの。封建社会においては、茶室に入った瞬間に身分に関係なく茶を楽しむ場所でした。今の時代、このことは忘れられがちですが、点前にとらわれすぎずに純粋にお茶を楽しんでもらいたいと思っています」と、宗長先生。

中村さんは心をこめつつ、茶の香りが飛ばないように手早く茶をたて、客役を務める教室の仲間に一服を差し出した。遠州流は武家茶だからだろうか、茶席はどこか開放的で、集う楽しさをみんなで共有する雰囲気がある。

中村さんコメント

「亭主七分に客三分」という気持ちはわかりますね。1年に1〜2回、友人・知人を招待して、この茶室で個人的な茶会を開くことにしています。ふるまうこと自体が喜びだし、友達に遠州流茶道を習っている自分を披露するのも嬉(うれ)しい。仕事や付き合いとは違う私の一面を見せることができますからね。亭主になるにせよ、客になるにせよ、茶道は自分自身が主体的に楽しめる。本当の意味での大人の遊びと言えるんじゃないでしょうか。

仕舞い支度

道具を清めて、仕舞いのあいさつへ

20分ほどで中村さんの点前は終了。「ご退屈さまでした」の仕舞いのあいさつで緊張がすっとほどけ、余韻(よいん)を楽しみながら茶室を後にする。

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