お手本をまねして何度も書き写し、先生に朱色で添削されるのは「お習字」
けれど、大人のための「かな書」は、
上手な字を書くだけではなく、墨と余白で美しい構成を練り上げる空間表現であり、
文字を組み合わせて遊ぶ知的ゲームの要素が多分にある。
そこで、かな書の俊英が教える、目からウロコの書道講座を訪ねた。

高木厚人先生
(たかぎ・あつひと)
1953年生まれ。書家。かな書の第一人者で文化勲章受章の杉岡華邨(かそん)に師事。かな書道界の俊英として、書展や書道雑誌などで活躍中。大東文化大教授。かな研究会主宰。現在、日展会員、日本書芸院常務理事、臨池会理事長、読売書法会常任理事。著書に「連綿[かな]」、共編著に「『書』の落款ハンドブック」(ともに可成屋刊)がある。


進藤亮一さん
(しんどう・りょういち 51歳)
コンビニエンスストア経営。小学校6年間で書道のおもしろさに触れるが、中学、高校、大学と運動部だったため遠ざかっていた。息子の大学進学が決まり、子育ても一段落したことをきっかけに48歳から再び書道を始める。書道以外に週3回はスポーツジムに通い、1.5キロメートルほど泳いで、体力作りにも励んでいる。


「50代を目前にして、仕事とは別に何か打ち込めるものを見つけたいと思っていました。そんなときに、ふと思い出したのが小学生時代に6年間、楽しく続けていた書道だったんです」
進藤さんはコンビニエンスストアを経営。店を長時間離れることはできないけれど、書道ならば空き時間を見つけて、事務所でお稽古に励むことができる。
「48歳で始めたときは教室に通う時間がもったいなくて、まず通信講座に申し込みました。けれど、だんだん先生から直接指導を受けたくなるものなんですね。それで、この直接指導の場を設けている書道雑誌『書統』で高木先生の講座を見つけて参加することにしました」
実際、高木先生の講座に通い始めてみると、それまで持っていた書道教室のイメージとあまりに違うので、うれしい驚きが続いた。
「教室で作品を書き上げて、朱色で添削してもらうお習字ではないんですよ。前の回に出された課題を書き上げて持参すると、先生が生徒一人ひとりに上達のための視点を説明しながら、お手本を書いてくれる。これが上達への励みになるんですね」

高木先生の講座では、講座中に作品を書くことはしない。前回提示された課題(月刊書道専門誌「書統」(萱原書房発行)に高木先生のお手本が掲載)を自宅で書き上げて持参する。
「書道を始めるというと、どんな道具をそろえればいいか悩む人がいるかもしれませんが、僕は小中学生が使うような道具から始めました。最初のころは、どんな筆を選んだらいいかもわからず1本しか使いませんでした。上達にあわせて、先生や書道用品店と相談しながら買いそろえていけばいいと思いますよ」と進藤さん。
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