奥田さんはコントラクトブリッジを習って、すでに10カ月。昨年7月からは清水先生の講習会で、ビッディングの仕方を学んでいる。ビッディングとは、ゲーム開始にあたって、相手ペアより何トリック多くとるかを競り合うこと。上手なビッディングが勝敗のカギであり、このゲーム一番の醍醐味(だいごみ)なのだ。
清水先生の講習会は大人気で、定員60人、15テーブルがすべて満席となった。

コントラクトブリッジは将棋や囲碁と同じように、戦い方があるんです。今日の講習会では、手持ちの13枚の組み合わせから、どんなコントラクトにすると勝率が上がるかを教えてもらいました。ブリッジは運に左右されず、技術と経験の勝負なので、こういう講習会に出て学ぶのが上達の早道なんです。


「自分の持っている13枚を見ると、ゲームをどう勧めればいいかわかります。今日は、それを見極めるポイントを解説していきましょう」
清水先生は次々に、スーツ(スペードやハードなどのマーク)にエース、キング、クイーン、ジャックの絵札の組み合わせを書き出し、「このハンド(自分の手持ちのカード)だと、どんなコントラクトになりますか?」と質問し、答えを出していく。
コントラクトブリッジは、1人ではなくペアで戦うゲーム。コントラクトを決めるオークションで、パートナーとどう協力し合ってゲームを進めていくかを、言葉でなく、ビッディングで読み取っていく。
メモを取りながら、ゲームの進め方を頭の中でシミュレーションしています。コントラクトブリッジは、論理的思考、推理力、そして、相手とパートナーがどういうカードを出したかの記憶力の3つが必要。だから、すごく頭を使うんですよ。習った戦い方を、試合ですぐにでも応用したいのですけれど、これがなかなか…。勝つゲームの進め方は、試合を重ねるうちに自分のものになるようです。
講習会はトータル2時間半。前半の45分が講義で、後半の1時間45分は実際にゲームをしながら、学んだことを実践していく。奥田さんとテーブルを囲むのは、初心者向け講習会で一緒に学んだ仲間たちなので、同級生感覚で和気あいあい。
今回のテーマはビッディングなので、いつにも増して、最初のオークションに熱が入る。絵札の組み合わせと、どのスーツが何枚あるかでビッディングが決まるのだが、手持ちのカードにバラつきがあると、決めかねてしまう。そういうときは、先生とインストラクター2人が各テーブルをまわり、すぐに質問に答えてくれる。
また、勝ち方の定法どおりにゲームを進めても、思ったように勝てないことも。「どこで、間違ったのかな…」とみんなでゲームを振り返っていると、清水先生が登場。4人の場に残ったカードを見た瞬間に、一枚のカードを示して、「ここで流れが変わって、相手に主導権が渡ってしまいましたね」と、一言。パートナーのことを忘れ、自分のカードだけを考えていると、あっという間に相手側の流れになってしまう。けれど、パートナーと呼吸がぴったり合うと、気持ちよく勝ち進んでいく。これが他のカードゲームにはない、コントラクトブリッジならではの魅力なのだ。




頭脳ゲームはどれもそうですが、振り返りをすると実力がつきますね。だから、講習会で予想外なゲーム運びになったときは、仲間ともう一度、場に残ったカードを開いて、もう一度、なぞってみることにしています。そうすると、「このときは、このカードを出すべきだったんだな」というのがわかるので、下手な手を繰り返さなくなるんです。
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