工房の壁には、木材の見本と道具がきれいに並べ掛けられている。先生が真っ先に説明したのは、木材の種類だった。
「木には広葉樹と針葉樹の2種類があります。針葉樹の木材は、柔らかくて加工しやすいので建築材料に使われています。こちらは合板。MDFとはおがくずを固めて作られた合板。集成材とは細長い木材を貼り合わせて幅の広い板状にした合板です」
この後は、ホゾ組(註1)やダボ継ぎ(註2)など、木材の組み方をモデルを見せながら解説。木がどのように組み合わさって、家や家具になっていくかがイメージできる講義だ。

「スコヤできちんと測って線を引き、のこぎりを正しく使うと、電動のこぎりがなくても、きれいに正しく切れるんですよ」と先生がお手本を披露。
スコヤとは英語のsquareがなまったもので、直角を見るための測定器具。スコヤを使って直角を保ちながら、木材をぐるり一周する線のとおりにのこぎりを引けば、垂直でまっすぐな断面になる。
「木工品が上手に仕上がらない理由の大半は、正確に測れてないことが原因です。正確に測ってから作業を進める。鉛筆の線は使わない端材側の線に合わせて切る。切るときには作業台にクランプで固定して切る。このような基本を忠実に守ると、初心者の方でもしっかりとしたものが作れます」
金子さんをはじめ、参加者はのこぎりなど手工具を使いたくてうずうずしているようだったが、先生の説明を聞いて、がぜん、測ることに熱心に取り組み始めた。

手取り足取りというより、木工の「おさえどころ」をきちんと伝えてくれるので、自宅で作るときも応用できると思います。すでに材料がそろえてあるものを、形にするだけでは物足りないですよね。自分だけの木工品を作りたくて、この講習会に参加したのですから。
いよいよ実作業。のこぎりで木材を引き、かんなで削り、キリで穴を開けるなどの、手工具を使った基本的な作業を先生の指導のもと、順番に行っていく。生徒は4人で、しかも2人で1台の作業台を使うので、短い時間ながらも十分に手工具の特性をつかむことができる。

「道具があると、できることが広がります。最初はのこぎりやさしがね、スコヤなどの道具を使ううちに、だんだん欲しい工具が出てきますから、順番にそろえていけばいいでしょう。大型電動工具は速く正確に作業を進められますが、手でやることをまず覚えてほしいですね」
そんな説明の後、それぞれの作業に没頭。初心者コースなので、単純な作業ではあるものの、参加者の目は生き生きと輝き出す。木工の楽しさを味わったようだ。
のこぎり引きでは、斜めに切るのが上手だと先生にほめられたのがうれしかったですね。それと、かんなで削り出すのが面白かったです。ちょっとした角度によって、削る厚さも手に伝わってくる感覚も違う。まだまだ初心者ですが、ものづくりの楽しさというか、実感を楽しませてもらいました。

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