国立乗馬クラブの特長は、なんといっても馬の世話ができること。
「乗馬は用意された馬に乗るだけでなく、厩舎の掃除や餌やり、馬具の付け方など馬の扱い全般を体験することで上達すると考えています」と、先生。本多夫妻も乗馬ができる格好に着替えるやいなや、厩舎の掃除をするために走る。
「まずは全部の馬に挨拶。どんなコンディションなのか様子を見ます」と、雅敏さん。入会まもない会員がいると、手助けしたり、やり方を教えたり。会員みんなが助け合いながら、その日の乗馬のための準備を楽しげに行っていた。

雅敏さんコメント
馬や干し草のにおいをかぎながら、厩舎の掃除をするのが大好きなんですよ。もともと馬の世話をしたくて乗馬を始めましたから、休日、クラブに行ける日がいつも待ち遠しいんです。
厩舎から出した馬は、そのまま乗れる状態にはない。特に休日は、平日にあまり人を乗せていないから元気がありあまっていて、時には危険なことも。そこで、調馬索(ちょうばさく)をつけて、馬場をぐるぐると走らせて準備運動。馬の後方から長い鞭(むち)を使い、馬の体力を調整する。クラブには23頭の馬がいて、その日に会員を乗せる馬を次々に馬場に出しては、準備運動をさせていく。
「馬と接する機会が多いほど、馬のことを理解できるようになりますね」と、恵さん。本多夫妻は手際よくはみを付け、馬装(ばそう)していく。
18馬いる北海道和種は、いわゆる「道産子」で純粋な日本産の馬。ばんえい競馬の大きい馬と勘違いしている人も多いが、それは間違い。北海道和種は、小型で耐久性があり、賢い。

雅敏さんコメント
このクラブは本当に何でも自分たちの手で行うんです。蹄鉄(ていてつ)をつけるのも先生が自ら行っています。僕もこの間、蹄鉄をはずさせてもらいました。こんなこともやらせてもらえると、うれしかったですね。
「経験を重ねることで、少しずつ馬のことがわかってくるんです。毎週乗っている馬でも一度たりとも同じだったことはありません。だから、のめりこんじゃうのかな」と、恵さん。厩舎で馬の世話をしているとき、今日最初に乗ったとき、走らせたとき…そのときどき、精一杯気持ちをこめて馬を動かしていくのだそう。
馬の調子が整って、いよいよ本格的に走らせていく。本多夫妻もそろって、馬場を回り始めた。常歩(ゆっくり)、速歩(人間でいうとマラソンのような走り)、ゆっくり速歩(ジョギングのような走り)と、コントロールしていく。
騎乗中は腰にウエストポーチを巻き、トランシーバーを装着。クラブハウスから目を光らせている先生が、トランシーバーを使って乗馬を指導するシステムだ。
「本多さん、速歩に!」と、先生がマイクで指示。馬と乗る人のコンディションを見ながら、走らせ方を指導していくから、その人のレベルに合わせて安全に乗馬を習うことができる。

恵さんコメント
乗馬の運動量は想像以上です。とにかく姿勢よく、馬に負担をかけないように、腹筋と背筋を使うんですね。始めた頃は、1鞍(45分)のるとへとへとでしたが、今は1日4鞍乗れるようになりました。
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雅敏さんコメント
経験を積み重ねていくと、馬の動きがだんだんわかってくるんですね。どこを見ているのか、脚の動きはどうなのかが馬全身から伝わってくるんです。といっても、100年乗り続けても、全部がわかることはないでしょう。それが生き物を一緒に行うスポーツの醍醐味だと思います。