これまで大井さんは風景画を主に描いてきたが、今回と次回のレッスンのテーマは「人物を生き生き描くこと」。次回は実際のモデルを前にして描くので、今回はそのための人体のとらえ方・見方を予習するのが目的だ。アルメニア出身の画家、ジャンセンの作品を模写して、人の動きや体の流れをつかんでいく。
「作品をそのまままねしようとはしないでください。模写することで、体の流れを表す線や構図の巧みさなどを、自分なりに感じとってください」と、先生。今回のレッスンで習得するポイントをはっきりと伝えてくれるから、上達のステップが見えてくる。

「人物を描くときは、腕や足など、隠れて見えない部分がどうつながっているか、体の流れをイメージすることが大切です。背中を描くときは、背骨の流れをイメージすると楽に描くことができます」
レッスンの前半では、先生が表現方法やテクニックのポイントを紹介。軽妙な語り口だが、さすがはプロ。独学では、こういう実践的なテクニックはなかなか習得しにくい。
「上半身を描くときによくやってしまうのが、頭・首・肩の順番で描いてしまうこと。これでは、アンバランスな上半身になってしまいます。頭を描いたら次は肩の位置を決める。頭と肩のつながりをイメージして首をかくと、自然な体の動きやバランスを表現することができます」
大井さんもさっそく先生の言われたとおりのステップで模写を始めた。
大井さんコメント
自分では気づかない表現方法やとらえ方を、的確に教えてもらえるのがうれしいですね。先生から学んだことを取り入れると、自分の絵の出来栄えが変わってきます。

先生から講義を受けた後、黙々と線描に取りかかる大井さん。一見、迷うことなくスラスラと描いているように見えるが、最初の1本を描く瞬間がとても緊張するという。
「これからどうやって線を引くか、どんなイメージで描いていくなど、実は描き始めるまではものすごく迷うんです。毎回、最初の1本はまさに迷いと緊張の瞬間。けれど、僕にとってはこの時間が絵を描くうえで、大切な時間なんですよね」
実は大井さんは、手を描くのが苦手。苦戦する様子を感じとって、すかさず先生が声をかける。
「手というのはとても表情が付けやすい場所でもあるのです。苦手だな、難しいなぁとついつい弱く描いてしまいがち。けれど、描いていけば必ず慣れますから、他の部分と同様に強く描くクセを付けてください。強く描くと目立つので、自分の絵の特徴やクセに気付くことができるんです」
絵の上達のポイントは「自分のミスをわかりやすくすること」というのが、先生の指導のモットー。苦手な表現を克服するサポートをしてくれる。

大井さんコメント
蒲生先生は構図の取り方や光と影の付け方など、絵を描く基礎を具体的にていねいに指導してくれますから、毎回の授業が本当に役立ちます。
鉛筆での模写が終わった後は、いよいよ色をつけていくプロセスに。線描では、ときおり眉をひそめて厳しい表情を見せていた大井さんだが、彩色となると一転、楽しんでいる様子が伝わってくる。先生にも積極的に質問。「体の陰影を表すのに、もう少しアクセントが欲しいのですが…」と投げかけると、すかさず的確な回答が返ってくる。
「迷いながら塗っていては、ただモヤモヤした絵になってしまいます。水彩画はにじんでいるのも魅力の一つだけれど、ここは少し水を少なくして、絵の具が流れ出ないようにしましょう」 多彩な表現ができるのが、水彩画なのだ。

→写真の上にあるのは、大井さんお手製の色見本。水に溶くと絵の具そのままの色とは違ってくるので、色見本を参照しながら描き進める
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大井さんコメント
元々風景を描くのが好きで、人物、特に女性を描くのは苦手。でも、人体を線描するときポイントを教えてくれするのでわかりやすいですね。しかも、「こうしなさい」と決めつけるような指導じゃないのも楽しいですね。