最近、古武術の身体運用法への興味関心が高まっている。
トップアスリートが記録更新のために取り入れているほか、介護の現場では、力を入れずに対象者の身体を動かせる、と学ぶ人が増えてきた。
日本古来の身体の動かし方は、普段のわれわれの動きと何が違うのか。欧米流のスポーツ理論に基づいた体の動かし方の「常識」を覆す、身体運用法を教える講座を訪ねた。

中島章夫先生
(なかじま・あきお)
1964年生まれ。武術稽古研究家。武術を護身や攻撃のためだけではなく、「身体の使い方に対する知恵の集合体」ととらえ、効率的な身体の動かし方を指導。1979年に身体技法の研究家・甲野善紀氏主宰の武術稽古研究会・松聲館入門。現在、甲野氏の身体運用法を研究する人のために「半身動作研究会」を主宰。著書に『技アリの身体になる』などがある。


大滝一弘さん
(おおたき・いっこう 50歳)
プロテニスコーチ。現在は、世田谷区にあるテニスクラブで子ども達からプロを目指す選手まで幅広く指導。学生時代からテニスの指導に携わり、欧米の科学的なトレーニングの研究を重ねてきたが、もっと日本人に合ったトレーニングを模索したいと、古武術の身体技法に興味を持つ。2006年1月より、中島先生の講座を受講している。

「これまで様々なトレーニング法を学んできましたが、年とともに、古武術に興味を持つようになっていったんです。欧米流のスポーツ科学をそのまま踏襲していては、日本人プレーヤーは欧米人に打ち勝つのは難しい。けれど、日本人にあった身体の使い方を習得できれば、もっと強くなれるかもしれない……と考えたんです」
大滝さんはプロテニスコーチ歴28年。これまで常識と思われていたトレーニングでは、テニスプレーヤーの実力を最大限に引き出すには、限界があるように感じていたという。そこで目をつけたのが、古武術を研究して生み出された身体運用法だった。 「あちこち探して、ようやくこの講座を見つけました。『古武術からの発想〜身体の運用法』という講座タイトルで、自分が求めていたのはコレだ!と思いましたね。習い始めて約2年たち、身体の使い方が変わってきたのか、とても楽に。ハードなテニスの練習をしても、筋肉痛を起こさなくなりました」

講座では激しい動きはほとんどない。2時間続けるうちに、じんわり汗をかく程度だ。そのため、用意するものは動きやすいウエアだけあればOK。大滝さんはTシャツに短パンといういでたち。他の生徒も思い思いのトレーニングウエアで参加している。道具を必要としないので、手軽に始められるところもいい。

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