手話は単に日本語を手や指の動きに置き換えた記号ではない。独自の文法や体系を持つ日本語とは異なる言語である。そこで、外国語を学ぶように新しい言語に挑戦してみようと、ろう者である先生が教える手話教室を訪問。手や指を巧みに操り、表情豊かに会話を楽しむ手話の奥深さを紹介する。

海野和子先生
(うみの・かずこ)
ろう者・手話教師センター講師。ろう者が実際に使っている日本手話による通訳者や、日本手話が出来る聴者を増やしたいと、日本手話講師に。2002年よりソフトバンク手話教室に参加。初心者から上級者まで幅広く受け持っている。明るく気さくな人柄と、ろう者と聴者の文化の違いを交えた丁寧な指導は、「わかりやすくて楽しい」と生徒からも好評。


毛利元貞さん
(もうり・もとさだ 43歳)
対人関係における問題の予防と対応を行うコンサルティング会社を経営。日本カウンセリング学会・日本コミュニティ心理学会会員。相手の考えていることを表情から読み取れるようになりたいと、2006年から地域の手話講習会に参加。そこで手話の奥深さに目覚め、もっとろう者の方と話せるようになりたいと、07年10月から海野先生のクラスを受講。

手や指の動きや表情から相手の意図を読み解く手話が、カウンセリングやコンサルタントの仕事に役立つんじゃないかと、地域の手話講習会に通い始めた毛利元貞さん。単語や表現を覚えていくうちに、新しい言語を習得する楽しさに目覚めたのだとか。「手話が日本語とは異なる言語なんだって思ったら、それを習得してろう者の方たちともっとコミュニケーションをとってみたくなったんです」と毛利さん。
「私が地域の教室で学んでいたのは、日本語と手話を対応させた日本語対応手話が中心。ろう者の方と深くコミュニケーションを図るなら、ろう者同士の間で生まれ、彼らが使っている日本手話を学びたい」と新たに教室を探し始める。07年10月、海野先生が指導する日本手話教室に参加。
ソフトバンク手話教室では、日本手話を母語とするろう者を「ネイティブ」と呼ぶ。こういうのも、外国語を学ぶのと同じ感覚なのだ。
「少人数制なので、ネイティブの先生とたくさんコミュニケーションが取れる。ここなら、きっと早く上達できるに違いないと思ったんです」
一般的に手話と呼ばれるものの中には、日本語の語順通りに手話単語を並べていく日本語対応手話と、ろう者同士が日常的に用いている独自の文法や体系を持つ日本手話がある。
ソフトバンク手話教室では、直接教授法と呼ばれる指導方法を採用。ろう者であるネイティブ講師との会話を通じて、手話を理解する力や生活に密着した会話方法の向上を一番の目標にしている。そのため、授業は90分間手話のみで進行。教材はイラストなどを使用し、日本語文が書かれたテキストは一切使用しない。先生とのコミュニケーションを楽しむことが上達の近道だとか。

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