日本の伝統芸能の代表格ともいえる「能楽」。
物語に節がついた「謡(うたい)」と舞いである「仕舞(しまい)」を学び、和の幽玄なる世界を表現する芸能の王道だ。
「仕舞」の動きと腹から声を出す「謡」に、日本古来の身体作法の素晴らしさに気づかされる。
能楽を学ぶことで、日本人としての美意識や感性を呼び覚ましてはどうだろうか。

富田雅子先生
(とみた・まさこ)
能楽歴35年。1972年に梅若能楽学院に入学。40歳からプロになり、数々の梅若会の舞台を経験。学院卒業後は梅若教授となり、学院で指導を続けるほか、個人指導も行っている。情景がいきいきと思い浮かぶ、日本語の言葉の力とリズムを大切にする授業で、能楽の魅力を伝える先生。


冨岡千幸さん
(とみおか・かずゆき 44歳)
私立中学・高校の数学教員。高校時代から、古典文学の魅力にはまる。演劇や舞踊といった舞台芸術に興味を持ち、大学時代は能楽から現代劇まで数々の舞台を鑑賞。観劇を重ねるうちに、「自分でも演じてみたい」という気持ちが高まり、1996年に梅若能楽学院に入学。以来、週1度のお稽古に通う。

「能楽の舞台を観(み)ていると、謡曲の節回しや舞いで表現する世界が、すっとなじめたんですね。これは面白い!と。だったら、観る側だけでなく、演じる側にもなってみたいと、11年前に梅若能楽学院に入学しました」と冨岡千幸さん。高校生の頃から、日本の古典文学に親しんでいたので、能楽を始めたのは自然な流れだったとか。
「初めて稽古をつけてもらったとき、謡にせよ、仕舞にせよ、違和感を持たなかった自分にびっくり。自分の感性にぴったり合う趣味を見つけられた手応えがありました。謡に描かれる日本古来の美意識、物語の面白さ、そして日本語の美しいリズムは、実際に自分で演じてみると、より味わえるものなんです」
日本の伝統芸能である能楽を習うとなると、「いろいろ物入りなのでは…」と思っている人がいるかもしれない。だが必要なのは、謡曲の教本、仕舞扇(8000円程度)、白足袋の3点セットのみ。謡曲教本に関しては、習い始めは教室や先生から借りることもできる。梅若能楽学院では、1年に1回発表会を開いているが、その際の衣装も貸衣装でOK。思ったより気軽に習い始められるお稽古事なのだ。

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