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ことばが紡ぐ旅

航空書簡 from 高千穂 to パリ 歴史息づく地へ、時空を超える旅

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拝復

お便り、ありがとうございます。高千穂の緑が日に照らされてやがて紅葉へと移り変わる、実に美しい季節になってまいりました。

私は生まれも育ちも高千穂です。小さいころは、高千穂峡にも通じる五ケ瀬川へ、もしくは近くの高千穂神社や天岩戸神社をはじめとする数々の神社に行って鬼ごっこやかくれんぼなどしたものです。今でも子どもたちは伝統や文化、自然に親しもうと伝説、神楽舞や面について学んだり、実際に舞を披露したりと楽しそうです。

高千穂は盆地ですので、かなり冷え込みます。しかし、私はこの冷え込みの時期にこそ高千穂に暮らす誇りを感じます。広がる雲海や、まっすぐに伸びゆく木々を見ていると肌にしみこむ緊張感があり、神様の優しさ、自然の雄大さをいっぺんに体感できるのです。

春・秋の祭り、そして夜神楽の準備の手伝いに行きますと、先輩たちが「昔はこうだったんだ」と語り伝えてくれます。とても活気があって、ああ、高千穂に生まれたってこういうことかなあと思います。その席で楽しむ酒は最高ですよ。こういったイメージを酒に込められないか、というのは杜氏(とうじ)という立場からいつも思います。「鈿女(うずめ)の舞」、「天甜酒(あまのたむさけ)」といった酒はそんな気持ちから生まれたものです。

杜氏になるための特別な試験はありません。先輩から技術の手ほどきを受けて経験を積み、やっと一人前と認められる、そんな世界です。入社した頃は、ほとんどが工場で先輩の杜氏と一緒に寝泊まり。毎朝5時起きで寒さに凍えながら温度管理などもしなければならず、自分との戦い、忍耐力が必要でした。

第一次焼酎ブームの到来は1985年。そば焼酎、麦焼酎と次々と押し寄せるブームの波に生産が追いつきませんでした。その時代の杜氏の多くは遠方からの出稼ぎの方々。しかし、農閑期だけのはずが、酒造りが彼らの仕事の大半を占めるという困った状況になってきたのです。私が入社後わずか5年で杜氏になれた背景はそこにもありました。

現在、うちの工場では1日に一升瓶換算で1万2千本を生産しています。さっぱり飲みやすく吟醸酒のような味わいの減圧蒸留、コクと香ばしさの出た常圧蒸留。飲み比べてお好きな味を探していただけるとうれしいです。

伝統を守り、安定した形でお客様にお届けする。日々それを第一に考えています。口にしていただいて愛されていくものですから、まがい物ではイカンのです。ニーズに応えながら、いいものを作り、手をかけて、高千穂の地で育て上げる。これがいい。

いつの日か鈴木さんの作られたお豆腐をいただきながら、ご一緒に焼酎で一杯やりたいですね。

それではお便り、楽しみにしております。

敬具

高千穂町より 飯干修誠

鈴豆腐 鈴木昭様

とうもろこしの原酒が入っています。樽数にして150ほど。出荷までに早くて1年、6年ほど寝かせたものもあります。どんな味わいになってくれるのか楽しみでもあります。

一次仕込みタンク内部、もろみが入った状態です。原料と水にこだわりを持って造っています。

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プロフィール

鈴木昭

1942年、静岡県生まれ。1977年渡仏、退職後豆腐屋に転身。2004年、軟水(硬度4)、国産豆腐用大豆(100%)、天然ニガリ(100%)だけで作った無添加豆腐「鈴豆腐」を販売開始。パリの日本食材屋や和食レストランなどに出荷している。ボワダルシー在住。

飯干 修誠
(いいほし・しゅうせい)

1959年、宮崎県高千穂町生まれ。1978年高千穂酒造株式会社入社。入社5年後、杜氏(製造責任者)となる。第一次焼酎ブームとなった1985年はもとより、以後も焼酎文化を支え続けている。現在、取締役工場長。高千穂酒造株式会社のURLは
http://www.takachihosyuzo.co.jp/index.html

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