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ことばが紡ぐ旅

航空書簡 from パリ to 高千穂 人と自然が織りなす「まち」の魅力

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拝啓

お便りありがとうございました。

雲海に包まれたすがすがしい高千穂峡の紅葉を想っています。

フランス革命直後にフランスで使われた暦法では、10月を霧の月(Brumaireブリュメール)と呼んでいたそうです。なんとも文学的な月名ですが、最近のパリでは霧にはお目にかからなくなりました。11月1日の万聖節(La Toussaint)の祝日のころから一気に冬に突入するのが通例でしたが、地球の温暖化の影響でしょうか、厳しい寒さが風物詩だったパリも随分暖かくなったように感じています。

手作りの伝統豆腐を出荷するようになって2年8カ月が過ぎました。出荷時間に合わせて一人で豆腐をつくり、車で配達もします。緑に囲まれた郊外のアトリエからパリへ、わずか30分の道のりで景観ががらりと変わります。歴史的建造物や美術館が景色を作りだすパリは、まさに歴史と文化のまち。なかでも、日本人街があるオペラ座界隈には配達でよく行きますが、オペラ座、ルーブル美術館、コンコルド広場やチュールリー庭園などはすべて徒歩でまわることができます。70年代には229万いた人口も現在は213万人弱。首都にしては小さい規模とお感じになるでしょう。

小さいとはいえ、懐が深いのがパリです。よその地域からやってきた移民も人口の15%と多く、様々な人種がくらし、文化や芸術などに対しても寛容です。そんな人びとが創りだすまちにおいては、祖国のまちよりも、自分自身でいられる度合いが大きいと感じます。日本での世間と自分との不可分さを意識せずにすみ、自分に素直でいることができるのです。さらに同じ西洋といっても、建前が前にくるアングロサクソン系の人びとよりも、ラテン系の本音がいきているパリの人びとの方が、私にはぴったりです。異性に、そして食べ物や飲み物に多大な感心を持っても当たり前。やはり本音が先行するまちです。出来るだけ自分の本音に近く生活できる方が、私には幸せではないかと考えています。

まもなくフランス西部の港町ラ・ロシェルにて豆腐の講演会と高校での日仏比較文化に関する授業をする予定です。なにしろ相手はフランス人、しかも私とは48歳もの年齢差のある若者たち相手ですから、どのような本音の交流ができるのか今からわくわくしています。

敬具

鈴豆腐 鈴木昭

飯干修誠さま

オペラ・ガルニエ(オペラ座)。こんな風景を眺めながら伝統豆腐を配達しています。

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プロフィール

鈴木昭

1942年、静岡県生まれ。1977年渡仏、退職後豆腐屋に転身。2004年、軟水(硬度4)、国産豆腐用大豆(100%)、天然ニガリ(100%)だけで作った無添加豆腐「鈴豆腐」を販売開始。パリの日本食材屋や和食レストランなどに出荷している。ボワダルシー在住。

飯干 修誠
(いいほし・しゅうせい)

1959年、宮崎県高千穂町生まれ。1978年高千穂酒造株式会社入社。入社5年後、杜氏(製造責任者)となる。第一次焼酎ブームとなった1985年はもとより、以後も焼酎文化を支え続けている。現在、取締役工場長。高千穂酒造株式会社のURLは
http://www.takachihosyuzo.co.jp/index.html

「航空書簡−ことばが紡(つむ)ぐ旅」は、道東にやってきた「どらく」編集長から筆を起こし、まずはローマ在住の平田ゆたかさんにあてて手紙を送りました。これから冬にかけて、スペイン、スペイン、パリの海外3地域と、沖縄東や沖縄、宮崎、京都、飛騨高山など国内6都市で生き生きとくらす「どらく」なスペシャリストたちが、リレー方式で空を駆け巡る書簡をやりとりしていきます。書きしたためることばが紡いでいく遥かなる旅をお楽しみください。

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