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ことばが紡ぐ旅

航空書簡 from 京都 to イタリア 水の清らかさに、心潤うひととき

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拝復

個展でお忙しいなか、お便りありがとうございます。11月に入って、京都は朝晩の冷え込みが厳しくなってきました。私の住まいの近くにある御所の紅葉も見ごろを迎えようとしています。

京都生まれの京都育ちというと、多くの方々にうらやましがっていただけます。でも筝曲家として活動するようになって二十数年。実は旅から旅の暮らしです。先日、イタリアでも演奏会をさせていただいたんですよ。日本国内もあちこちお邪魔しています。といっても演奏会場と宿舎の往復で、観光などはほとんどした事がありません。飛行機、電車、バスからの車窓旅行専門です。悲しいながら。

旅から京都に帰ってきて、賀茂川を見ると、「ああ帰ってきたんだなぁ」と気持ちが落ち着きます。賀茂川は京都市の北の端に位置する山から流れてきます。水源地から、高野川と合流するまでを賀茂川、その下流を鴨川。一般表記は鴨川ですが、私たち京都人は場所によって、きちんと書き分けています。歴史への誇りと敬意からでしょうか。

コンサートなどでよく御一緒する、カリフォルニア生まれの尺八奏者・ジョン海山ネプチューンが作ってくれた「KAMOGAWA」はジャズの味わいも感じられる、すばらしい一曲です。ネプチューンにとってのKAMOGAWAは彼が住む千葉県鴨川の海、私にとっては賀茂川の流れ。二人の演奏する曲ということでローマ字表記です。ふりそそぐ太陽の光を受けてきらきら輝く日もあれば、これからの季節特有の北山時雨でどんより暮れる日もある。でも賀茂川は常に私たち、京都人の心を滔々(とうとう)と流れています。いつも、そんなイメージでKAMOGAWAを奏でています。

イタリアの水から生まれるカフェやワインのお話、大変面白く拝読しました。私はやはり京都の水が一番美味しいと感じています。京都は地下水の豊富な街で、市域の地下にある水の量は琵琶湖にも匹敵すると近頃の研究でわかってきたそうです。茶道の家元、和菓子屋さん、生麩屋さん、豆腐屋さん、みなさんこの良質な地下水を拠り所に日々の営みを続けておられます。

この季節、京都には本当に多くの観光客の方がいらっしゃいます。場所によっては人を見に来たのかとも思えるほどですが、穴場もたくさんあります。特に早朝の賀茂川は人影もまばら。美しい紅葉が楽しめるはずです。ぜひ一度お出かけください。美味しい水と魂が洗われる風景、お約束いたします。

敬具

2006年11月7日

福原左和子

平田ゆたか様

三枚目のソロアルバム録音のリハーサル風景です。私はスタジオ録音より緊張感の持てるホール録音が好き。バイオリンやフルートなどの洋楽器とのコラボレートも多いので、五線譜も読みます。筝曲用の譜面は漢字と仮名で書かれています。初めての人は驚きますよ。

右がジョン海山ネプチューンです。日本では尺八奏者として有名ですが、母国アメリカではジャズアーティストとして知られています。作曲家としてもすばらしく、今年の春に発売した三枚目のソロアルバムの表題曲「NAGAREGUMO」も彼の曲です。

イタリアの旬の旅情報はこちら 京都の旬の旅情報はこちら
プロフィール

平田ゆたか

1944年、香川県生まれ。1974年渡伊、国立ローマ・アカデミア入学。1982年、前ローマ法王ヨハネ・パウロ二世に謁見、作品献上。同年ヴァチカン近代美術館に作品を所蔵される。2006年11月22〜27日 西武池袋アートフォーラムにて個展開催。ローマ在住。

福原佐和子

1961年、京都生まれ。幼少の頃より叔母に手ほどきを受け、故秋月秋栄、野田弥生、故沢井忠夫らに師事。同志社大学経済学部卒業後、NHK邦楽技能者育成会31期卒業。演奏家としては、音楽大学出身ではない稀有な存在。日々、演奏活動にいそしんでいる。京都在住。

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