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ことばが紡ぐ旅

航空書簡 from アメリカ to 湖北 歴史との対峙 兵藤ゆきさんがつづる東海岸生活

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拝啓

立春の候、日本はそろそろ春めいてくる季節でしょうか。

夫の留学先のニューヨーク(NY)に息子共々移り住み、早くも11回目の冬を迎えました。今年の冬はその中でもとりわけ暖かです。去年のクリスマスシーズンはとうとう雪が降りませんでした。サンタクロースもびっくりだったことでしょう。毎年2月は氷点下の日が続くので、NYのほとんどの学校は「フェブラリー・ブレイク」といって1週間ほどの休みがあるのですが、今年は暖かいから取りやめになるかも、なんてうわさも出ているほどです。

さて、NYに来たときはまだ赤ちゃんだった息子も、今はNYのエレメンタリースクール5年生(日本で言う小学校5年生)になりました。

そんな彼がキンダーガーテン(日本で言う幼稚園年長)に通っているとき、学校でこんな歌を教わってきました。

1492 Columbus sailed the Ocean Blue with Nina, Pinta, Santa Maria
(1492年、コロンバスはニーニャ号、ピンタ号、サンタマリア号と共に青い海を航海してきた)

アメリカ大陸を発見したクリストファー・コロンバスのことを歌っている歌です。マンハッタンのセントラルパーク南東角に、コロンバスの金色の像が中心に立つコロンバス・サークルがあり、そこに行くたびこの歌を思い出します。

エレメンタリースクール3年生のときには、「NYに移民としてやってくる場合、好きな物を5つだけ持ってきてもいいとしたら、あなたは何を選びますか?」という社会科の宿題が出ました。マンハッタンの南に浮かぶ自由の女神像から800メートルほど北にあるエリス島は、1892年に連邦政府移民局が設けられた場所です。移民局が閉局した1954年までの約60年間に、現在のアメリカ国民の約40%にあたる人たちの祖先が、アメリカに入る際に審査を受けた島で、当時の資料がたくさん展示してあります。NYの子どもたちは学校の授業などで必ず一度はここを訪れ、自分にとって祖先にあたるかもしれない様々な国から移民してきた人々のことを勉強しています。

現在5年生の息子は、社会科の自由研究にベンジャミン・フランクリンを選ぼうかと考えているようです。ベンジャミン・フランクリンは1777年、アメリカ独立宣言の起草委員で、アメリカの独立に多大な貢献をした政治家として有名です。100ドル札にも肖像画が印刷されています。彼の父母は1683年にイギリスからマサチューセッツ州ボストン市に移住し、ベンジャミンはボストンで生まれ、育ったそうです。ボストンはマンハッタンのチャイナタウンから出ているバスに乗れば、3、4時間で行ける街です(バス代は往復30ドル)。アメリカ発祥の地としても有名で、英国を思わせる古くも美しい街並みがとても美しいと聞いています。市内や近郊にはボストン大学、ハーバード大学、マサチューセッツ工科大学など、世界に名だたる名門大学もあるので、息子の自由研究も兼ねて、このフェブラリー・ブレイクに家族で訪れてみようかと計画中です。

アメリカの歴史を知るにつれ、日本の歴史にも興味がでてきます。小和田先生の戦国談義、今度じっくりとお聞かせください。

ボストンの様子はまたお便りします。

敬具

2007年2月9日

ニューヨークにて 兵藤ゆき

小和田哲男さま

コロンバスサークルの西にあるショッピング・ビルから

例年になく暖かな冬のマンハッタン・ミッドタウンにて

プロフィール

兵藤ゆき

名古屋市出身。東京・名古屋・大阪で深夜ラジオのパーソナリティーを皮切りにテレビ番組に登場。エッセー、脚本、作詞、歌手、小説などジャンルを超えて幅広く活躍。1996年に長男誕生後、ニューヨークに。主な著書に「ぶんちんタマすだれ」「ゆき姐のニューヨーク裏うら散歩」「でこぼこなクラス写真〜子どもたちは黙っちゃいない〜」(いずれもワニブックス)、「ニューヨーク熱血井戸端会議」(集英社be文庫)、「頑張りのつぼ」(角川書店)、「こどもを守る101の方法(翻訳本)」(ビジネス社) など。
アサヒ・コムで子育てコラム連載中
http://www.asahi.com/edu/column/ikuji/

小和田哲男

1944年、静岡県出身。静岡大学教育学部教授・文学博士。戦国時代が専門。NHK「その時歴史が動いた」、NHK教育「歴史で見る日本」などの常連出演者。「関ヶ原の戦い」「戦国合戦事典」「戦国武将」など著書多数、雑誌や新聞にも多数執筆。NHKの大河ドラマ「秀吉」「功名が辻」の時代考証も担当。長浜城博物館・運営委員。

アメリカの歴史に触れる・感じる旅
兵藤ゆきさんがつづる東海岸生活アメリカ入植400年をたどる東海岸探訪(3頁へ)
日本の歴史に触れる・感じる旅
小和田哲夫さんがつづる戦国の近江(2頁へ)湖北に訪ねる、戦国武将の夢のあと(4頁へ)
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