
天下が麻のごとく乱れ、全国の群雄が覇権を目指した戦国時代。1534年、尾張の織田家に誕生した天才・信長の登場は歴史を一気に動かしました。風雲児の進撃から関が原で徳川家康が勝利をおさめる1600年までの間、時代の趨勢(すうせい)を定める要となったのが「近つ淡海(ちかつあふみ)」、近江の湖東から湖北にかけての一帯です。


政争が続く京のみやこに限りなく近い上に、間には琵琶湖と比良山系の絶好の障壁、さらに中山道や東海道という流通の大動脈が通じる立地。地図で俯瞰(ふかん)すると、東国の大名たちにとって湖北一帯がいかに重要な意味を持っていたかが読み取れます。信長は湖東に安土城を築き、浅井長政は湖北の小谷城で無念の自刃、羽柴秀吉は長浜城から天下人への道を歩みはじめました。姉川や関ヶ原の古戦場も目と鼻の先に位置しています。


近年静かなブームを呼んでいる古戦場や城址巡り。自分の目で見る歴史の現場は、資料やドラマでは得られない新鮮な発見や感動に満ちています。とりわけ戦国時代の史跡が密集する湖北一帯は歴史探訪には最適な地。秀吉や利家の故居を通り過ぎながら上る安土城への道中、布陣から武将たちの駆け引きが見て取れる関ヶ原古戦場――。時には山道や長い石段など歩きごたえのある道を進みながら、乱世の英雄と同じ風を感じる。歴史ファンなら一度は挑戦したい歴史巡検の道のりです。

1963年神奈川県生まれ。専門誌「歴史読本」(新人物往来社)を経て歴史アナリストとして活躍中。専門は戦国史時代と幕末維新。著書に「完全制覇戦国合戦史」(立風書房)、「歴史現場からわかる徳川慶喜の真実」(東洋経済新報社)ほか。中世城郭研究会会員。

現地でこそ感じられることが歴史には数多くあります。例えば小谷城では、本丸を落とされた浅井長政は少し外れた場所で自刃しており、そこに立つと彼の悲しみが実感できます。あるいは関ヶ原では、黒田長政が本陣を置いた丸山から古戦場を一望すると、小早川秀秋を鉄砲で威嚇した逸話は距離的に無理があると感じられます。道中ではそんな歴史のお話をしながら、ポイントとなる場所をご案内していきます。
歩いて回る旅ですが、どの史跡もできる限り効率よく、歩く距離も少なめに工夫しています。同じ興味を持つグループで歩いたり、少々お酒をいただきながらの夜の歴史談義も楽しいもの。旅を通じて、ご自分なりの歴史感を作り上げていただけるとことと思います。

JAL
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