ことばの要素のひとつが、音(おん)。ことばの音で遊ぶのは、しりとり、早口ことば、はやしことば、芝居の声色などなど、子どものころからの遊びの数々。
しりとりは、<最も単純な遊びだが二人以上いれば、どこでもいつでも始められる便利さから、いつまでも廃れない>と、鈴木棠三先生(中公新書「ことば遊び」)。 だれもが一度は遊んだことがあるはずです。
早口ことばで有名なのは、「生麦生米生卵(なまむぎ なまごめ なまたまご)」とか、「隣の客はよく柿食う客だ(となりの きゃくは よくかきくう きゃくだ)」とか。歌舞伎好きなら、「ういろう売り」ですね。
「ういろう売り」は、一説によると「ういろう」という薬のおかげで持病が治った二世市川団十郎が宣伝を買って出た、という演目。「さてこの薬第一の奇妙には…、 ひょっと舌が回り出すと、矢も盾もたまらぬじゃ。そりゃそりゃそりゃそりゃそりゃまわってきたは、まわってくるは…」と、むずかしい早口ことばを次々に言い続ける。口が早くまわるのが、楽しくて仕方がないみたい。調子よく、リズムにのって飛んでくることばの響きの面白さ。「古典的日本語ラップ」といってもいいと思う。
さて、この<風流ことばあそび塾>では、しりとりや早口ことばのようにサウンドだけで遊ぶものは取り上げません。もっぱら文字で書いて遊ぶ。おおざっぱに分けると、音(読み)や字をもじって遊ぶタイプ=「字もじり」と、意味をもじって遊ぶタイプ=「気もじり」の二つになりますが、「字もじり」も、字をもじった結果、意味(気)が変わってしまう面白さを楽しむもの。「音(読み)」で遊びながら、その裏に「意味」が関係してくるとき、より面白くなるといっていいでしょう。
「字もじり」の代表的な例を三つ挙げてみましょう。
まずは、「値切りはちまき」。もとのフレーズはもちろん「ねじりはちまき」です。その「ねじり」を「値切り」と言い換えたとき、一生懸命値切っている光景が現れて、クスッとする。このときのお題は「叩(たた)くもの一切」で、「叩くもの」から「値切り」が出てきたわけです。
もう一つ、「賀状の決まり文句」というお題に、「禁煙のお誓い申し上げます」というお作。「新年のお祝い申し上げます」をもじったもので、新年になると毎年お誓い申し上げてるんじゃないの? なんてひやかしたくなりますね。
三つめに、「字もじり」には、母音をあわせてフレーズを作る「語呂合わせ」という遊びもあります。たとえば、「五十音の横10音」というお題のとき。つまり、10個の音で作る語呂合わせで、すべての音の母音が同じにすることだ。母音イで、「生き字引父に聞き」、「切り火切り式に行き」、「意地に行き意気に死に」。いろんなことが言えるもんです。
※文中の作例は、「眺牛會(ちょぎゅうかい)」、「新造連」連中のみなさんの作品です。
瓜売りが瓜売りに来て

早口ことばはアナウンサーの滑舌(かつぜつ)をよくするための訓練としても使われる。NHKキャスターだった村松真貴子さんに、そんな早口ことばをいくつか教えていただいた。
「意識しないで話しているときって、口のまわりの筋肉、表情筋をしっかり使ってないんです。表情筋が落ちると、中のぜい肉を支えられなくなり、たれてきてしまう」、と村松さん。早口ことばを練習すると「滑舌がよくなってことばが聞き取りやすくなるだけでなく、表情筋が鍛えられるので、顔の表情が明るく豊かになり、若返る」のだそうだ。
トライしてみては?
瓜売りが瓜売りに来て瓜売り残し、売り売り帰る瓜売りの声 (うりうりが うりうりにきて うりうりのこし うりうりかえる うりうりのこえ)
お綾や親にお謝りなさい (おあやや おやに おあやまりなさい)
特許許可局 日本銀行国庫局 (とっきょきょかきょく にっぽんぎんこうこっこきょく)
菊 栗 菊 栗 三菊栗 あわせて 菊 栗 六菊栗 (きく くり きく くり みきくくり あわせて きく くり むきくくり)
上方僧書写山、社僧の僧命代、今日の奏者は、書写じゃぞ、書写じゃぞ (かみがたそう しょしゃざん しゃそうのそうみょうだい きょうのそうじゃは しょしゃじゃぞ しょしゃじゃぞ)
この竹垣に竹立てかけたのは、竹立てかけたかったから竹立てかけたのです (このたけがきに たけたてかけたのは たけたてかけたかったから たけたてかけたのです)
のら如来のら如来 三のら如来に六のら如来 (のらにょらい のらにょらい みのらにょらい むのらにょらい)
笑わば笑え わらわは笑われる謂れはないわい (わらわばわらえ わらわは わらわれるいわれは ないわい)
※写真は千葉県産の白うり。果肉が緻密(ちみつ)で漬けものに向くが、家庭で漬けものをつくることが少なくなり、生産・流通とも減少している
(更新日:2006年07月05日)
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