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風流ことばあそび塾 篝火舎心亭監修

ことば遊びの世界へようこそ Vol.04 コトバの意味で遊ぶ

監修:篝火舎心亭 文:寿々乃舎於火女

ことば遊びは、コトバの「音(おん)で遊ぶ」ものと「意味」で遊ぶものの2 タイプに分かれ、意味にフォーカスした遊びの代表的なものが謎、といわれます。

「なぞ」は、「何ぞ?」という問いかけが名詞になったことばです。鈴木棠三先生によると、日本古代のなぞにはクイズ的な要素は少なく、何かを教えるときに、繰り返し「○○は何?」という問いに答えさせたのが始まりとか。

その後、中国の影響でパズル的性格が加わり、平安時代には、異性間で和歌をプレゼントして解きあうとか、問題を三十一文字に詠んで解かせるなど、和歌となぞなぞとは切っても切れない関係になったといいます。

問いに対して答える、というシンプルな形が「二段謎」です。多くは「秋になるとお化粧するもの、なあに? (柿)−信濃」とか、「大きい子と小さい子と競争しているもの、なあに? (時計)−越後」というように、柿や時計など実体のあるモノの属性を、擬人化したり、別の角度から表現したりするのがポイント。

ただ、二段謎のなかには「親が読まずに子が読むもの。(子が読む→子読み→暦)−能登」とか、各地に伝わる「とってもとっても減らないもの。(相撲)」といったものもあって、ここでは日本語に多い同音異義語をいかした音の遊びが鍵になっています。

また、よく知られる三段謎も音が鍵です。「○○とかけて、○○と解く。そのココロは○○」という形ですが、ココロの部分は音のもじり。たとえば、「正月に関する一切」というお題の三段謎で、「鏡餅とかけて、晴天続きと解く。そのココロはかさねてる(重ねてる−傘寝てる)」。「かさねてる」という音のもじりが、「餅」と「晴天続き」というかけ離れた二つのことばを結びつけているわけです。

さて、この<風流ことばあそび塾>では、意味のもじりで遊ぶ種目は、まず「笠附(かさづけ)」から始めましょう。「笠附」は「冠(かんむり)附」「烏帽子(えぼし)附」「五文字附」とも呼ばれ、形は、俳句や川柳と同じ五七五。「笠」とは五七五の頭の五文字、上五(かみご)がお題として出されます。

たとえば「ころころと」というお題に。「ころころと 着ぶくれしてる赤い頬」「ころころと 公約変り財をなし」「ころころと 肥って暇で主婦業で」「ころころと 娘十八よく笑い」「ころころと 逃げる小芋を箸(はし)が追い」「ころころと 葉末の露の小宇宙」などなど。

同じ五文字「ころころと」に七五をつけることによって、人間のさまざまな姿から自然の美しさまでを描きだすおもしろさと、上五の多様な意味を味わっていただきたいと思います。

※文中の作例は、「眺牛會(ちょぎゅうかい)」「新造連」、連中のみなさんの作品です。

今週の重箱の隅

ものづくし

イメージ写真

コトバの意味で遊ぶ種目のひとつに、「物者附(ものはづけ)」がある。そのお題は、たとえば「めでたくてあるするものは」という形で出されるのだが、これは「めでたくてあるものは何?」「めでたくてするものは何?」という問い。回答者は、「めでたくてあるもの、するもの」を見つけて答える。

それぞれがどんな「めでたくてあるするもの」を見つけたか、という感性の鋭さを競うのが、「表物者(おもてものは)」だ。「もの」のリストアップが得意な、ご存じ清少納言に挙げてもらおう。

<めでたきもの>は、今と違い、当時はすばらしいもの、立派なものを意味した。そこで、「舶来の錦、金銀で飾った刀」などに続き、<色あひふかく花房ながく咲きたる藤の花の、松にかかりたる>と藤の花のようすを描く。

清少納言は、この藤の花を<あてなる(上品な)もの>にも挙げている。薄紫色に白がさねの汗衫(かざみ−女童の表着)、雁の卵、水晶の数珠、藤の花…。今なら「上品であるするものは」というお題への答えとでもいうべきだろう。

ちなみに、「もの」「ものは」で始まる章は、「枕草子」全体の約四分の一。<すさまじきもの> <にくきもの> <こころときめきするもの> <おぼつかなきもの> <ありがたきもの> <あぢきなきもの> <心地よげなるもの> <なまめかしきもの> <あさましきもの> <くちおしきもの> <ゆくすえはるかなるもの> <見ぐるしきもの> <いひにくきもの> <あはれなるもの> <わびしげに見ゆるもの> <暑げなるもの> <はづかしきもの> <はしたなきもの> <おそろしげなるもの> <うつくしきもの> <むつかしげなるもの> <くるしげなるもの> <心もとなきもの> <たのもしげなきもの> <近うて遠きもの> <遠くて近きもの> <さわがしきもの> <ないがしろにするもの> <うれしきもの>などなど、清少納言のイメージは翼を広げ、縦横無尽に駆けめぐる。いずれも表物者の答えとして読んでみると、その感性の鋭さは、さすがだ。

(更新日:2006年07月12日)

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