ことばであそぼ 大募集!!、第6回目の兼題を発表します。
洒落附(しゃれづけ) 「文房具一切」
川柳 折句(おりく) 「こよみ」、「むつき」
【風流ことばあそび塾】の洒落附は、題の意味をもつことばを使って、よく知られた成句をもじる遊びです。第1回目と第2回目にも投稿していただきましたね。洒落附のルールはそのときと同じですので、わかっている方は読みとばしてください。
洒落附のルールは2つだけです。
今回の題は「文房具一切」。文房具にはいろいろありますね。鉛筆、消しゴム、ノート、帳面、手帖(てちょう)、定規、ハサミ、糊(のり)…。最近は、パソコンやマウスなども文房具の中に入ってきました。
こういった文房具の名前を、よく知られたフレーズの頭に置いてもじるのが洒落附です。
作例をみるとわかりやすいと思います。
| ・ | はさみ離さず | ※元句 肌身離さず |
「はさみ離さず」の元になったフレーズは「肌身離さず」です。この元句のことを「裏」といいます。「はさみ離さず、はさみ離さず」と何回か繰り返して声に出してみると、「裏」の「肌身離さず」が浮かんできますね。
元句の「裏」に対して、作品の「はさみ離さず」は「表」といいます。表は、意味が通じることがたいせつです。「はさみ離さず」の意味は、いつもはさみを持っている人、つまり、いつもはさみで修正してやろうと待ちかまえている人……と、こう取ったら深読みでしょうか。
これをつくるプロセスを考えてみましょう。
まず、「はさみ」に似た音のことばを探すことから始めます。
| ・ | はさみ | ⇒ | 風見 |
| ・ | はさみ | ⇒ | 笹に |
| ・ | はさみ | ⇒ | 朝に |
| ・ | はさみ | ⇒ | 肌身 |
次に、それを使った誰でもわかるフレーズを探します。たとえば
| ・ | 風見 | ⇒ | 風見鶏(かざみどり) |
| ・ | 笹に | ⇒ | 笹に黄金が成り下がる |
| ・ | 朝に | ⇒ | 朝になったら |
| ・ | 肌身 | ⇒ | 肌身離さず |
そして、その似た音の部分に、「はさみ」を入れていきます。
| ・ | 風見鶏 | ⇒ | はさみ鶏 |
| ・ | 笹に黄金が成り下がる | ⇒ | はさみ黄金が成り下がる |
| ・ | 朝になったら | ⇒ | はさみなったら |
| ・ | 肌身離さず | ⇒ | はさみ離さず |
こうしてみると、この中で「はさみ離さず」以外は、表の意味が通りませんね。
で、「はさみ離さず」を作品として出すわけです。このとき元句は書きません。元句を書かなくちゃわからないということは、作品に難があるのか、読み手の力が足りないのか…ということになりますからね。
さて、もう一つ作例をあげてみます。
| ・ | 定規もろい | ※元句 情にもろい |
「定規もろい」の元句は「情にもろい」です。
この「表」の意味、「もろい定規」って、どんな定規でしょう。柔軟性のある、融通無碍な、臨機応変な定規。どこかのだれかさんかもしれません?
この「表」には、厳格さ、正確さが求められる「定規」に、「もろい」ということばをぶつけた面白さといえます。
以上、2つの作例でおわかりいただけると思いますが、作品を読んですぐに「裏」にある元句がわかること、そして「表」の意味が通っていることが、洒落附として成り立つ基本的な条件なのです。
折句も古くからのことば遊びです。たとえば、「古今和歌集」にある在原業平の和歌を、ご存じの方も多いでしょう。
「唐衣 きつつなれにし つましあれば はるばるきぬる 旅をしぞ思ふ」
この五・七・五・七・七の頭の1文字目をとると
「か」らころも「き」つつなれにし「つ」ましあれば「は」るばるきぬる「た」びをしぞ思う
で、「か」「き」「つ」「は」「た」つまりカキツバタということばになります。このように、和歌なら五・七・五・七・七それぞれの頭の1文字目、川柳なら五・七・五それぞれの頭1文字目をつないだときに意味のあることばになるように作るのが、折句です。
今回の題は、「こよみ」「むつき」。
「こよみ」の場合は、こうなります。
| ・ | こ○○○○ | よ○○○○○○ | み○○○○ |
作例をご覧ください。
| ・ | 小座敷の | 酔い更けていく | 水入らず |
| ・ | こざしきの | よいふけていく | みずいらず |
「むつき」の場合は、こうです。
| ・ | む○○○○ | つ○○○○○○ | き○○○○ |
作例をみてみましょう。
| ・ | 無駄骨を | つくづく折った | 気の迷い |
| ・ | むだぼねを | つくづくおった | きのまよい |
折句を作るとき、一つだけ気をつけていただきたいことがあります。
たとえば次の句。【風流ことばあそび塾】では、これは病(やまい)とされ、落とされてしまいます。
| ・ | 今宵こそ | 読み終える気の | ミステリー |
| ・ | こよいこそ | よみおえるきの | みすてりー |
| ・ | こよ○○○ | よみ○○○○○ | み○○○○ |
五・七・五の頭1文字目をつなぐと確かに「こよみ」になるのですが、上五は「こよ」で始まり、「中七」は「よみ」で始まっています。【風流ことばあそび塾】の折句のルールは江戸時代からの古いルールに従い、このように2音をとってはいけないことになっています。
このことだけ気をつけていただき、ぜひ、楽しい傑作、面白い自信作をお寄せください。
※文中の作例は、「眺牛會(ちょぎゅうかい)」「つばな連」「新造連」連中のみなさんの作品です。

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(更新日:2006年12月27日)
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