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森や里山は、ひと昔前まで子どもたちにとって身近な遊び場だった。しかし、人間の暮らしが自然とかけ離れていくにつれ、「遊び」のなかで、自然の素晴らしさや厳しさを学ぶ機会がめっきり減ってしまった。
森で遊ぶことが、森の育成につながる――。森を親しむ心の醸成と実質的な森林整備を兼ねた「フォレストアドベンチャー」は、私たちが森林保護にかかわるための新しい場所だ。
富士山の麓(ふもと)に2006年8月にオープンした「フォレストアドベンチャー・フジ」。高さ1〜14メートルのところに設置されたつり橋やロープなど41種類のアトラクションがある「森の冒険」施設だ。参加者は、腰に装着したハーネス(安全ベルト)が落下防止の命綱とつながっていることを絶えず確認しながらコースを進む。
現場に入り、インストラクター兼マネジャーの宮下慈子さんにハーネスを装着してもらうと、一気に緊張感が高まった。この後、地上14メートルから空中へジャンプするようなスリルのあるアトラクションを体験するのかと思うと、身震いがした。高所恐怖症で、バンジージャンプやジェットコースターといったアトラクションを全く楽しめないのに、はたして全長約800メートルのコースを、完全制覇することができるのだろうか。

コースは全部で七つ。初心者用「ディスカバリーコース」(5歳以上、身長110センチ以上)が三つと、上級者用「アドベンチャーコース」(身長140センチ以上、体重130キロまで)が四つ。18歳未満は保護者の同伴が条件で、すべてを回るのに約2時間かかる。
ディスカバリーコースでは、先にコースを回っている親子を前に見ながら、「小さい子ができるのだから、私にもできるはず」と言い聞かせて進んだ。しかし、初心者用コースといっても、気が抜けない。アトラクションを移動するごとに、安全装置を装着し直さなければならないからだ。正しく装着されてないと、コースの見回りをしているインストラクターから注意を受けることもある。「何度も注意を受ける場合は、ブリーフィングを再度受けてもらうこともあります」と宮下さん。厳しいようだが、事故を避けるには必要だ。
コースのなかで唯一、迂回(うかい)路が用意されているのが、アドベンチャーコースにある「ターザンスイング」。11メートルの高さから、1本のロープを使って、15メートルほど前方に張られているネットに、ターザンのように飛び移るというもの。
ここまでのアトラクションは何とかクリアしてきたが、さすがに立ちすくんでしまった。しかし、後ろには順番を待っている人がいる。気を取り戻して、命綱を確認し、正面にあるネットをめがけて、えいっと飛び降りた。

気がつくと、どういうわけか、先ほどまであんなに遠くに見えていたネットを、しっかりつかんでいた。「できた! やればできるのだ」。やり遂げたという達成感でいっぱいだった。
同行したカメラマンが「最初とは別人のようですね」と笑った。実は、コースを周り始めたときは、最後まで回りきる自信がなかった。しかし、すべてを体験後、こんな一面が自分にはあるのだと気がついた。
コースを終えて、「これは単なる遊びではない」と感じた。「精神的な成長がある」。そんな気がしてならなかった。宮下さんによると、そもそもフォレストアドベンチャーは、フランスとスイスの企業研修の一環で作られた施設で、主にリスク管理能力を養おうと考えられたそうだ。
今回の体験から言えば、無理だと思っていたターザンスイングがクリアできたのは、リスク管理が十分にできたことが大きい。また、難関を克服したことは、自分に対する自信にもつながり、仕事に積極的に取り組もうという気持ちが強くなった。
何人もの体験者を見ている宮下さんは、スタートから泣き出して怖がっている子どもたちも見てきた。「それでも、コースを終える頃には、満足感のある表情に変わっているんですよね」と話す。こうした表情を見るのが一番うれしいという。


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