ここで話は時間をさかのぼります。
1996年8月8日、ロシア・カムチャツカ半島でヒグマに襲われ亡くなった日本人の自然・動物写真家がいました。星野道夫さん(享年44歳)。
彼は学生の頃、東京・神田の洋書専門店でたまたま手にした写真集に一枚の写真を見かけ、魅せられました。それはシシュマレフ島の空撮写真でした。73年、彼は初めてこの島を訪れ住民宅に約3カ月間居候しました。この経験が、アラスカの大自然を舞台に活躍する写真家としての出発点になったといわれています。
その時、星野青年を自宅に受け入れたのが、この写真で微笑んでいるクリフォード・ウェイオワナ夫妻です。クリフォードさん(右)は、当時、シシュマレフ村の村長でした。星野青年から「あなたの村を訪ねたい」と手紙を受け取った本人です。
この島には旅行者用の宿泊施設が現在もありません。2008年夏、取材で訪れた私と通訳スタッフは、クリフォードさん宅に居候させていただくことになりました。