
カメラメーカーでエンジニアをしている白石敬昭(ひろあき)さんの趣味のひとつは、料理。小学生の頃から、研究対象として好きだったという。インスタントラーメンの水の分量を変えると味がどう変わるかを比較し、やはりレシピ通りがおいしい、などと検証したとか。大人になってからは、材料費や手間ひまを多少かけても作りたい料理を作る「男の料理」に目覚めた。結婚後は時間やコストの配分も考えるようになったそうだが、「たとえ時間短縮のために市販のだしを使っても、最後に少し自分で香りづけするだけで、料理は格段においしくなります。ちょっとした工夫が大事」と、こだわりの姿勢を見せる。
奥さんの澄子さんはインテリアコーディネーター。平日はありあわせの材料で手早く料理もするが、おいしいものが食べたい時は、研究熱心な敬昭さんをおだてて作ってもらう。「レストランに夫を連れて行って、『同じ味を家でも食べたい』と言うと、作ってくれるんです」と澄子さん。食器やテーブルリネンを選び、テーブルコーディネートするのは澄子さんの得意ジャンル。上手に役割分担をして週末の食事を楽しんでいる。
そんなふたりの冬の定番は、鍋料理。食材を切るだけで済むところは油料理の苦手な澄子さん向き。食材とだしの組み合わせ次第で、オリジナルな料理に展開できる点が敬昭さん向き。毎冬、新しい食材や味つけに挑戦しながら、いろいろなオリジナル鍋を開発しているという。


この日は、敬昭さんが考案したオリジナルな鍋料理「鴨と鶏肉の冬野菜鍋」を作ってもらうことにした。なんとこの鍋は、食べ終わったあとの汁を、おじやではなく親子丼風のタマゴかけご飯に、さらにうどんの汁にも利用するという。一度の調理で三度もおいしいエコ料理だ。

鍋料理というとスキヤキやしゃぶしゃぶも一緒にとらえられるが、敬昭さんはしゃぶしゃぶを鍋料理の範疇(はんちゅう)に入れたくないという。「だって煮汁を捨てるでしょう。あれがもったいない。汁の最後の一滴まで無駄にしないのが鍋料理だと思うんです」と敬昭さん。「これってエコロジーにも通じるでしょう?」
言われてみれば確かに鍋はエコクッキング。季節の食材を使い、鍋ひとつで調理する点は省エネだし、鍋が終わった後に作るおじやは、言うなれば煮汁のリユースだ。

敬昭さんにとっての鍋料理の定義は次のようなものだ。調理器具が今のように揃っていなかった時代でも、庶民が手軽にできたワンポット料理。また、食材のうまみや栄養分が溶け出した汁をおじやとして二次利用できるため、栄養学的にも優れている。余熱を利用できるので、エネルギーの無駄もない。さまざまな食材の持ち味がひとつの鍋の中に凝縮された「One Worldの料理」だ。
「でも無駄を省くだけじゃなく、奮発した材料をひとつ入れたり、変わった味付けをしたりなどの遊び心も必要。そこのバランスを考えながら、レシピを考えるのが面白いんですね」と敬昭さん。今回はどんな鍋料理が出来上がるのだろう。

※当サイトの推奨ブラウザは、Windows Internet Explorer6.0以上、Netscape7.0以上、Firefox 1.0以上、Macintosh Safari 1.0以上となります。
Copyright The Asahi Shimbun Company. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.
どらくに掲載の記事・写真の無断複製転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。
©朝日新聞社
無断複製転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。