
ふたりが今使っている天体望遠鏡は、接眼鏡を交換することで160倍まで拡大できる「口径10センチ・経緯台屈折望遠鏡」というタイプの機種。なかなかの高機能でありながらも、折り畳めば畳4分の1ほどのスペースにおさまり、星観察をする際に三脚を伸ばした場合でも、わずか半畳ほどの場所しかとらない。使い勝手も非常に良いという。
実はこの望遠鏡、昨年息子さんが小遣いをためて買ったもので、小澤家にとっては2台目。1台目は今から40年ほど前、まだ中学生だった宣昭さんがやはり小遣いをせっせとためて買ったものだった。
宣昭さんが天体望遠鏡を買ったきっかけは、たまたま友人に連れられて行ったプラネタリウム。星座の美しさに魅了され、夜空に輝く本物の星が見られたらどれほどきれいだろう、と胸を高鳴らせたことに始まる。
「歴史は繰り返すといいますが、わたしとそっくり同じことを息子がやっているんですよね。ある時息子をプラネタリウムに連れて行ったら、その場で星の魅力にとりつかれてしまったんです。そして一生懸命に貯金をし、わたしが持っていたものよりも数段良い望遠鏡を買いました」と宣昭さんが目を細める。「わたしたち夫婦が逆に、息子にいろいろと教えられることも多くなりました」と修子さんも笑顔をほころばせる。
40年もの時を経て、新しい天体望遠鏡が、新しいかたちで宣昭さんをまた魅了している。不思議な縁のようなものすら感じさせるエピソードだ。



「うちでは夫もわたしも、神秘的なリングをまとった土星が一番のお気に入りなんです」。天体望遠鏡をセットする宣昭さんの横で、修子さんが教えてくれる。望遠鏡を使えば、肉眼では見えにくい月のクレーターや土星のリングまでばっちり見えるという。
実際の星観察はどのような手順で行なえばよいのか、についても教えてもらった。まずは肉眼で星空を眺め、「星座早見盤」や、コンピュータ上のデジタルビューワーなどを参考にしながら、望遠鏡で見てみたい星の位置を確かめる。その位置をめがけて広視野レンズで覗き、目的の星に向けて鏡筒をグイッと向ける。しっかりと星を探しだせたら、自分の好みの倍率にレンズを調整していく。
「ぜひ一度、本物の土星の輪を見ていただきたいですね。ものすごくきれいで、言葉も出ないほど感動しますよ」


土星のリングというのは無数の氷の粒の集まりで、土星の公転につれて、地球から見えるリングの傾きが変わる。さまざまに表情を変える様もまた神秘的で美しく、土星のほかにもリングを持つ惑星はあっても、これほど立派なリングは土星のほかにはないのだそうだ。
それにしても、星の好みがぴったり同じということは、気の合う仲良し夫婦であることの証に違いない。最近ちょっと夫婦の会話が足りないかなと感じている夫婦がいたら、小澤さん夫妻をみならって、夜空を見上げてみるのも良いかもしれない。特に冬の晴れた夜は、夫婦仲良く月や星を眺めるチャンスだ。
(注)ご紹介したデジタルビューワーは、国立天文台4次元デジタル宇宙プロジェクトで開発しているフリーソフト「Mitaka」です。 http://4d2u.nao.ac.jp/html/program/mitaka/

周囲が暗いほど星はよく見える。せっかく星観察をするなら、部屋の電気を消して月明かりの下で星の輝きを楽しもう。わずかでも多くの人が実践すれば、より美しい夜空を見ることができるだろう。また、必要のない電気を消してから出かける習慣をつけると、電気消費量も減り、空気中の二酸化炭素濃度の増加を抑えることにもつながる。家の中を真っ暗にするのは不安だという場合は、部屋に1本ろうそくをともしておくと、すてきな演出になる。星観察を終えて部屋に戻ったあとは、そのまま電気をつけずにキャンドルナイト、というのも良いかもしれない。


小澤宣昭・修子
宣昭さんは1954年、東京都生まれ。大学卒業後は東京で会社勤務を経験した後、神奈川県に移住し地方公務員となる。修子さんは1956年、神奈川県生まれ。学業修了後に上京して数年間の会社勤務、その後郷里に戻り、宣昭さんと出会って結婚、1児をもうける。夫婦共通の趣味は音楽鑑賞、スキー、そして星観察。毎年出かける長野県のスキー場へも天体望遠鏡を持参し、自宅から眺める時とは趣の異なる星観察を楽しんでいる。
地球発 − 旅先で体験する 「空に近い鉄道に乗って宇宙を体験する旅〜山梨・清里〜」
http://doraku.asahi.com/earth/taiken/071121.html
ライフスタイル − 心地よい暮らし http://doraku.asahi.com/lifestyle/lifecolumn/list.html
(文:安藤 智子)
(更新日:2008年2月4日)
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