では、乗松さんに、手作り梅干しを指南していただく。「梅干しを作るなんて、面倒だ」とは思わないでいただきたい。良い梅を選び、その良さを充分に引き出す、「いい仕事」をしてこそ、その梅が人間の体内で、また「いい仕事」をしてくれるのだ。手作りの梅干しで、人間も梅も、ともに「いい仕事」しよう。
用意するもの
| 黄梅 | 3キログラム。できれば無農薬で、地域に古くから植生している品種を選ぶ。 |
|---|---|
| 荒塩 | 600グラム。塩分濃度は18〜20%必要。それ以下だと、常温で保存できないため(カビもきやすい)。 |
| ホワイトリカー | 1.8リットル |
| 焼酎1.8リットル(消毒用) | アルコール濃度が25〜35度のものなら、甲類でも乙類でもかまわない。 |
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梅をホワイトリカーで洗浄後、水でも軽く洗い、なり口(つけ根)を楊枝などで一個ずつ取る。「なり口を取ると、塩が浸透しやすく、梅酢がすぐに上がります」と乗松さん。梅は、さらに焼酎をかけて消毒。均等にまぶすように。その後ザルに上げておく。
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荒塩をなべでサッと煎(い)って、焼き塩を用意しておきます。すりゴマ器などでつぶして、粒子を細かくする。「フードプロセッサーなどを使うと、金属の匂いが塩に移ってしまうので絶対にダメ」と乗松さん。
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消毒した容器(つぼやおけ、琺瑯[ほうろう]びきの容器でもOK)に、梅と塩を入れて混ぜる。均等に塩が混ざるように、塩の上に梅、その上に塩、さらに梅という順番で。1番上は余った塩で密閉する。
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ふたをして重石(おもし)を載せる。重石の重さは、梅の重量と同じか、やや重いくらいに。

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1日半〜3日後に梅酢(梅から出た水分)が上がるまで待つ。
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そのまま約1ヶ月、寝かせておく。「でも、2、3日に1度は、梅の顔を見ること。カビが生えていたら、取り出して、ホワイトリカーで洗うといいです」と乗松さん。
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7月上旬の良い天気の続く日に、梅だけ取り出して、4〜7日間天日干しにする。夜もそのまま。梅干し用のザルがなければ、天津スダレを洗って油分を抜いたものを代用しても可。この間に、雨に当たってしまったら、梅酢とホワイトリカーを混ぜたもので洗う。「中までしっかり乾燥させるために、必ず天日干しにしてください。1日に3回ほど天地変えするとおいしくなります。手間ですが、たくさん手間をかけるほど、梅しごとは楽しいのです」と乗松さん。
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完成。梅干しだけを保存してもいいし、梅酢を入れても良い。樽やビンに保存。「うまくいけば、100年後でも食べられる保存食ができます」と、実際に100年前に作られた梅干しを食べたことがある乗松さんは言う。歴史遺産ならぬ、家庭遺産が作れそうだ。
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赤梅干しを作る場合は、5〜7日目に赤紫蘇(もみじそ)を入れる。 赤紫蘇は、梅の量の20%〜30%(紫蘇の葉を70%の塩で2度揉み、あく抜きを)。梅、紫蘇、梅と交互に漬け込むこと。

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梅、角砂糖、上質なみりんかホワイトリカー、あるいはブランデーを混ぜて梅酒を作る。青梅、黄梅の2種類を作り、さらにブレンドしたものを作ると、3種類の梅酒が楽しめる。
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梅を凍らせたものと砂糖を容器に入れて、落し蓋をする。2週間程度で梅果汁が上がり、梅ジュースができる。飲み物としても、調味料としても重宝する。
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市販の梅肉エキスに黒砂糖を少し入れて、ソースを作る。バルサミコソースと同様、ローストした肉類などにかけると、絶品の味に。
乗松 祥子(のりまつ・さちこ)
日本料理店「延楽」の責任者。昭和15年、愛媛県川内町生まれ。茶懐石料理「辻留」銀座店に20年間勤務。ある時、店主・辻嘉一氏より、偶然、100年前の梅干しをもらいうけたことから、梅しごとに目覚める。その後、幻の梅といわれる「杉田梅」の樹齢500年余の大木と出会い、毎年、1トン半ほどの梅干しを漬けている。著書に「梅暦、梅料理」(文化出版)、「宿福の梅ばなし」(草思社)がある。
(更新日:2007年05月28日)
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