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心地よい暮らし

「和」で涼を楽しむ〜「視・触・聴・味・嗅」の五感で味わう夏〜

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蒸し暑い日本の夏。クーラーや扇風機がまだなかった時代に、人々が涼をとるために親しんできたのが浴衣や下駄、風鈴などだ。夏らしい浴衣の柄や薄い生地を眺めることで涼を感じたり、下駄に張る素材を変えて足の裏の感触をさまざまに楽しんだり。先人が親しんできた知恵を取り入れて、夏の情緒を味わいながら暑さを乗り切ろう。

視覚:涼を感じさせる夏の生地、和の柄

「戸田屋商店」の「涼感布」。アサガオや金魚などを大胆にあしらった大柄のものや、細かいパターンが規則正しく並ぶ繊細な柄などさまざま。

江戸時代から、夏には着物や手ぬぐいに涼感のある柄や素材が用いられた。当時の粋な計らいや夏の柄にまつわる話を、手ぬぐい屋の老舗「戸田屋商店」の五代目小林永治さんにうかがった。

江戸時代に発達した夏物衣類用の織物である絽(ろ)は、奇数の緯(よこ)糸に、2本の経(たて)糸を絡ませて織ったもの。糸の交差にすき間ができるために薄く、透ける素材だ。ただ、透けるがゆえに、1枚だけで着用することはできないという。「重ねて着たら、本人は結局暑い。でも、周囲の人の目を涼ませる効果があるのです」と小林さん。確かに、手に持つと向こうが透けて見えるほどの絽の生地はとても涼しげ。自分は多少暑くても相手を涼しくさせる、江戸の粋を感じるといえよう。

流れる汗を拭うのに必需品だった手ぬぐいも、夏には涼感たっぷりの柄が多く出回った。吸水性がよく速乾性にも優れた手ぬぐいは、汗拭きや鉢巻き、風呂で体を洗うのに用いられ、使っては洗い、干して乾いてはまた使われた。常に持ち歩き、生活の必需品だったからこそ柄は重要だ。

小林さんも、自ら「涼感布(りょうかんふ)」と名づけたこの季節限定の柄を染めている。古典柄も取り入れつつも、意外にモダンなデザインが多いことに驚いた。「今の人にも、手ぬぐいを使ってその良さを実感して欲しい。若い人だと、Gパンの後ろポケットからちょっとのぞかせるおしゃれを楽しんだりね。お父様方にはこの時期、ビールグラスを手ぬぐいで包んで乾杯、なんて自然にできたら、格好良いですよ」

触覚:下駄・雪駄(せった)の、ひんやり肌触り

ここ数年洋装に合わせて下駄や雪駄を購入するお客さんがぐっと増えた、と教えてくれたのは、浅草にある和装履物屋、「辻屋本店」の富田里枝さん。日本古来の履物である下駄や雪駄はここ数年、ジーンズなどに合わせて履きこなす人も増えたようだ。

夏に人気の雪駄の素材は、籐(とう)を編んだ籐網代(とうあじろ)やパナマ草など。いずれも熱の伝導が少ない天然素材なので湿気を溜めにくく、蒸し暑い日本の夏にはぴったりだ。ほかにもさまざまな素材があるが、どれも天然素材を用いているので通気性に優れて気持ちがいい。下駄も、台の上にごま竹を張ったものは足の裏が汗でべたつかず心地よい。

竹の子の皮で編んだからす表の雪駄。渋い色合いが根強い人気。
夏の素材、籐で編んだ雪駄。白地の鼻緒も涼しげだ。
桐台にごま竹を張った下駄。ひんやりとした感触が気持ちいい。

履きなれないと鼻緒ずれを起こしたり、足を痛めるのでは、と危惧(きぐ)する人も多いかもしれない。しかし富田さんは「和装履物は、鼻緒のすげ方がすべて。専門店できちんと足に合わせて鼻緒をすげてもらえば、どんな方でも快適に履くことができます」と言う。鼻緒が足にぴったり合っていれば、軽くて足に負担の少ない下駄や雪駄は非常に歩きやすい。また鼻緒が汚れてきたら鼻緒だけを取り替えたり、逆に台が傷んだら台だけを取り替える、といったように、長く使えるのもメリットのひとつ。

富田さんはもうひとつ、日本の履物の良さを教えてくれた。「鼻緒がある履物は、足の指が鍛えられます。地面をつかむ力が強くなると、背筋が伸びて足腰全体にも良いので、中高年の方にはそういった意味でもおすすめしますよ」

戸田屋商店

伝統工芸に指定された「注染」と呼ばれる染色法を受け継ぐ、梨園染めの手ぬぐい屋。インターネットでの販売も。

〒103-0012 東京都中央区日本橋堀留町2-1-11
TEL 03-3661-9566
http://www.rienzome.co.jp/

辻屋本店

大正元年創業の和装履物屋。インターネットでも下駄、草履、雪駄の販売をおこなっている。

〒111-0032 東京都台東区浅草1-28-1
TEL 03-3844-1321
http://www.getaya.jp

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