フェアトレードは、途上国の農産物や手工芸品を公正な価格で買い取り、生産者の経済的自立や生活基盤の整備を支援する貿易のこと。大手流通企業もフェアトレード商品を販売するようになっている現状をフェアトレードブランドである「ピープル・ツリー」の小野倫子さんに話を伺い、またフェアトレード商品の生活への採り入れ方を教えていただいた。
発展途上国の主要輸出品は、農産物などの一次産品。農産物は気候の影響で市場価格が変動するため、生産者の生活は不安定だ。さらにグローバル化の進展でライバルが増え、立場の弱い生産者たちは、生産コストをも下回る価格で取引を強いられることがしばしばある。フェアトレードは、こうした不公平を是正し、途上国の生産者たちの経済的自立を支援しようと、1960年代にヨーロッパのNGOやNPOを中心に始まった。合い言葉は“Not Aid, but Trade”。「一時的な金銭援助より、長期的に雇用の機会を作ることが大事だと私たちは思っています。仕事をもつことで、その人の尊厳が守られるだけでなく、みずからの手で暮らしを向上させることができますから」と語るのは、フェアトレード専門ブランド「ピープル・ツリー」の広報/企画マネージャー、小野倫子さん。
フェアトレードでは、生産者と輸出入団体(NGOなど)が、市場価格ではなく、生産者たちの生産コストと生活コストから最低取引価格を設定し、長期契約を結ぶ。さらにプレミアムなどがプラスされ、地域の学校建設などコミュニティの発展のために充てられる。人権擁護の立場から児童強制労働などが禁止され、環境や生産者たちの健康に配慮しているのも、特長のひとつだ。経済・社会・環境・人権のバランスを取りながら生産・販売をしているため、フェアトレード商品の価格は一般の商品に比べてやや高くなる傾向がある。
それでも、世界的にフェアトレード市場は急拡大している。フェアトレードの国際組織のひとつ、FLO(Fairtrade Labelling Organizations International/国際フェアトレード機構)から認定を受けた「フェアトレードラベル商品」の売上高は、2006年度で前年比41%増の2600億円。スイスでは、2004年度に国民一人当たり2949円のフェアトレードラベル商品を購入している。ちなみに、この年に日本は一人当たり2.9円だった。

日本でもここ1、2年、フェアトレードへの関心が高まりつつある。「関心をもつ人は20代後半から40代の女性が中心ですが、最近は、生協で採り入れたいなど、学生さんからの問い合わせも増えています」と小野さん。ピープル・ツリーは毎年5月12日の世界フェアトレードデーにイベントを開催しており、今年の来場者は昨年より5割以上増えた。
イオン、スターバックスコーヒー、無印良品といった大手の小売り、外食チェーン店も、相次いでフェアトレードのコーヒー豆の店頭販売を始めた。2004年に「トップバリュー」のブランドでコーヒー豆を商品化したイオンの場合、きっかけは「多くの人の日常生活と国際貢献を結びつけられるよう、イオンがパイプ役になって欲しい」という消費者からの提案だった。企業の社会的責任という観点から、フェアトレード商品を販売する企業は、今後も増えそうだ。
もっとも小野さんは「気軽にフェアトレードの商品を試して欲しい」と言う。「フェアトレードだからではなく、商品に魅力を感じて購入てみたらフェアトレードだった、というのもとてもいいと思います。ただ、普段の買い物の時、それがどこの国で、どんな人によって作られたのか、その人たちの生活は守られているのかを少し想像してもらえれば」

例えば、私たちが普段なにげなく着ている木綿製品。綿の栽培には、大量の農薬と化学肥料が使われ、農家の人たちは健康被害や土壌・水質汚染で苦しんでいると言われる。それに異を唱えて登場したのが、農薬・化学肥料なしで作られたオーガニックコットン。Tシャツやタオルを一枚買う時にこんな背景を想像してみると、商品に対する思いが少し変わってくるかもしれない。
ちょっとした買い物から、フェアトレードの商品に目を向けてみてはどうだろうか。生産者と直接やりとりしながら品質管理されているので、フェアトレードの商品には高品質なものが多い。クオリティーの高さを確認してから、フェアトレードの支持者になっても遅くない。

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