夏の猛暑で食欲が落ちていた人も、秋風とともに元気な胃腸が戻ってくる時期。そこで注意したいのがメタボリックシンドロームだ。内臓脂肪がひきがねとなり、動脈硬化などの病気を招きかねない。今回は、セントラルスポーツの岩田昌子さんに、日常生活の中で簡単にできるメタボ対策として、体の動かし方・使い方についてお話を伺った。

秋は食べ物がおいしく、お酒も進み、とかくカロリー摂取過多になりがちだ。そんな季節にこそ、メタボリックシンドロームの対策が必要だ。メタボリックシンドロームは、内臓のまわりの脂肪の蓄積から始まると言われている。そこから、脂肪細胞によって作られる生理活性物質の分泌異常が起こり、高血糖、高血中脂質、高血圧を招きやすくなる。3つの病態が軽度でも複合的に作用するため、将来的に心筋梗塞(こうそく)や狭心症、脳梗塞などの動脈硬化疾患を引き起こす危険性が高まる。
セントラルスポーツでメタボリックシンドローム改善コースなどの企画開発を手掛けてきた岩田さんは言う。
「メタボリックシンドロームは、自覚症状がないのが最大の特徴。40代以上の男性の二人に一人は予備軍だと言われていますが、仕事が忙しくて運動をする時間がないうえに、自覚症状がないために、放っておく人がほとんどです」
診断基準のひとつに、ウエスト周りのサイズがある。男性で85センチ、女性で90センチ以上が基準だが、女性はともかく、男性でこのサイズは珍しくないため、単なる中年太りと片付けられる傾向があるらしい。
「メタボリックシンドロームは、単なる中年太りではなく複合的なリスク症候群です。下半身にはつかないのに、おなかまわりにだけ脂肪がついている内臓脂肪型の肥満の人は、とくに注意して欲しいですね」と岩田さん。
日本内科学会など8つの学会は、日本独自の「診断基準」を設けている(右図)。ウエストサイズが該当し、他に血糖値、血圧値、血中脂質の項目で2つ以上が当てはまれば、メタボリックシンドロームと診断される。一度チェックしてみよう。




内臓脂肪とは、「三段腹」と呼ばれるような皮下脂肪ではなく、腹部の内蔵のまわりについた脂肪のことだ。皮下脂肪に比べるとつきやすく落ちやすいと言われる。二の腕のたるみを取るのに比べれば、はるかに簡単な撃墜法がありそうだ。
「基本は、有酸素運動と筋肉トレーニングを組み合わせること。有酸素運動だけでも脂肪は燃焼しますが、筋肉を鍛えることで基礎代謝量が上がりカロリー消費量が増えて、脂肪が燃えやすい体になるのです」と岩田さん。
手軽にできる有酸素運動の代表はウオーキングだが、岩田さんはこれに筋トレの要素も加わったフィットネス・ウオーキングを推奨する。「背筋を伸ばし、身長の半分ほどの歩幅で大股に歩く方法で、全身の筋肉を使うのでカロリー消費効率が上がります。通勤などで歩く20分を利用すれば、誰にでもできますしね」と岩田さん。有酸素運動は連続20分以上が必要と言われてきたが、最近の研究では、一日の累計時間が20分を超えていれば、断続的でも効果が認められるという説もあるそうだ。
同じく通勤の際に、と岩田さんが薦めるのが、電車の中でつり革を使わず、足だけで踏ん張る方法。「バランスのトレーニングができることに加えインナーマッスル(体の奥にある筋肉)で姿勢を維持するので、体幹部が鍛えられ、普通にしていても太りにくい体になります」
意外なところでは、デスクから立ち上がる時の筋トレ。「自分の体重をかけ両腕で机を押すようにすると、大胸筋を鍛えられます」。日常生活の色々な場面で、無意識に使っている筋肉を意識しながら動かすだけで、余分な摂取カロリーを脂肪としてためてしまう体質を改善できるという。
有酸素運動と筋トレで少しずつウエスト回りのサイズや体調の変化を感じ取れたら、次のステップとしてお薦めしたいのが、スポーツクラブでのトレーニングだ。

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