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鳥類の行動学や生態学を中心に、動植物全般の進化生態学、環境問題の研究に取り組んでいる動物生態学者、上田恵介さん。大自然の中で様々な生物に触れることは、シニア世代にとっても大事な「学び」になるという。そのわけをうかがった。

小学生の頃、「日本野鳥の会」に入るほど鳥に夢中になり、好きが高じて鳥の研究者になりました。やりたいことをやってきたわけですから、いつ死んでも後悔はないと思っています。でも、頭でそう思う一方で、「自分はあと何年生きられるのだろうか」「ちゃんと畳の上で死ねるのか」といった問いかけも、いや応なく迫ってきます。「本当にこれでよかったのか」「自分に満足しているのか」と考えてしまう。おそらくシニア世代なら誰でも同じだと思います。
こんなふうにこれまでの人生を振り返った時、自然にわき上がってくるのが「学び」への欲求だ、と私は思います。これから先、新たに何かを学んだからといって、その知識を誰かにひけらかすわけでもない。ただ、純粋に自分への理解をもっと深めたくなるんでしょう。
教養とは「生き方を学び、知ること」です。それが「心の糧」になり、人生の支えになってくれることを、我々は本能的に知っている。「この先どうしよう?」と考えた時、この「心の糧」をどれだけ持ち合わせているかどうかで、ずいぶん人生のとらえ方も変わってきます。だからこそ、改めて「学びたい」という気持ちが芽生えてくるのだと思います。

私の専門は鳥の行動生態学なので、調査のため、国内外のフィールドへよく出かけます。大自然がまさに私にとって“学びの場”というわけですが、シニアになればなるほど、自然の中に身を置く大切さを感じます。
そもそも人間には自然環境に適応するための機能が遺伝子レベルで備わっています。一生物として自然と共に生きていきたいという感覚が、私たちのDNAに組み込まれていますから、ふと「自然の美しさに触れたい」とか、「動物と触れ合いたい」と思うことがあるわけです。
ところが、文明が発達し、人工的に作られた建物や人ごみの中で暮らしている都会人たちは、知らない間にストレスをためこんでしまい、生物体としての体を痛めつけてしまっています。人間の体って実はそんなに文明には適応していないんです。だからこそ、会社人間だった人や、主婦としてがむしゃらに家事、子育てに専念してきたという人にはぜひ自然に触れてほしい。そして、人間本来の感受性を呼び起こしてもらいたいのです。
何より自然の中には、私たちが人間として学ぶべきものが満ちあふれています。そのこともより多くの方に知ってほしいですね。
「死について」「幸福について」「孤独について」など、哲学者三木清が23のテーマについて思索。シニア世代が、青春時代にかじったかもしれない哲学を、改めて思い返してみるのもいいのでは。
著者:三木清
出版社:新潮文庫
価格:380円(税込み)

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