こんにちは。ドッグアドバイザーの高田由香です。
4月は気候も穏やかで、新しいスタート、新しい出会いもあり、うきうきすることが多い月ですね。
春は大好きな季節なのですが、悩みの種が「花粉」です。十数年前に突然花粉症になって以来、毎年様々な症状に悩まされ、少し気が重い日々です。
我が家の4匹のお散歩コース、川原にも、花粉の魔の手が伸びているのですが、もちろん4匹はお構いなし。「今日ももちろん、川原にいくよね?」という4匹のまっすぐな瞳に負けて、マスクにサングラスというよそのわんちゃんに吠(ほ)えられてしまうこと請け合いのいでたちでお散歩に出かけています。
いろいろなスタートが多いこの季節。「ペット」という新たな家族の一員を迎え入れたご家庭も多いのではないでしょうか。
今回のご相談は、我が家のコーギー、キャンディとアニーにも子犬の頃にとても悩まされた問題です。「うちも!」という読者の方も多いと思います。

我が家の犬はチワワとミニチュアダックスのミックスで、現在1歳半の女の子です。普段ほとんど吠えないのですが、掃除をしようとして掃除機を持ち出すと掃除機に向かってものすごい勢いで吠え続けます。
特に掃除機で何かしたということもないのですが、こちらが掃除をするのが嫌になってしまうほど吠えるので、少し困っています。どのようにしつけたらよいのでしょうか?
ご相談を拝見して、掃除機におびえて吠え続けるわんちゃんとお掃除がはかどらず困っている飼い主さんが目に浮かびました。私も同じ経験をしているので、飼い主さんのお気持ち、よくわかります。
今回のわんちゃんの場合、掃除機を怖がっているので、対症療法として、「怖いものを遠ざけて安心させてあげる」ために、お掃除中ケージやキャリーバッグに入って、掃除機をかけていない部屋に移動させてあげるのもひとつの方法です。
ただ、お掃除は頻繁にするものですし、これから掃除機とはずっとお付き合いしていかなくてはならないですから、少しずつ慣れていく方法を考えてみたいと思います。
大きな音を出しながら、飛び出したり引っ込んだりの動きを続ける掃除機。動き回るくせにコミュニケーションのとれないこの物体を、わんちゃんが理解できずに怖がってしまうのは無理もありません。
ご相談のわんちゃんは「掃除機を持ち出すとものすごい勢いで吠え続ける」とのことですから、「これからあいつは大きな音で大騒ぎしながら訳のわからない動きをしだすに違いない。そんな怖いこと、どうにかしてやめさせてやるんだから!」と頑張って吠えてしまっているのだと思います。
わんちゃんが持っている、「掃除機は音を出したり、変な動きをたりしして怖い」という悪いイメージを払拭(ふっしょく)するために、普段から掃除機をしまわず、わんちゃんの目に入る場所に置いて、掃除機が「おとなしい時もある」ことを見せて安心させてあげるのも方法のひとつです。
見慣れてきたら、少しずつ掃除機に近付かせてあげて、近付けたらごほうびをあげたり、たくさんほめたりしてあげてみてください。
更に慣れてきたら、動かさずに音だけ出してみたり、反対に音を出さずに少しずつ動かしてみたりして、音、動き両方に慣らせてあげてください。
また、「掃除機をかける時間」を「特別な良い時間」にするのも方法のひとつです。
まず、わんちゃんがとびきり大好きなおやつやおもちゃを見つけてください。そのおやつやおもちゃを普段はしまっておき、掃除機をかける時にだけあげ、掃除機をかけ終わったら取り上げてしまいます。
我が家のキャンディも掃除機が大の苦手でしたが、掃除機の時間だけとても良いにおいのする骨型ガムを与えたり、電源を切った掃除機のそばで簡単なトレーニングをしてたくさんごほうびを与えたりしているうちに、だんだん苦手意識を克服していったようです。
今回は掃除機が怖くて吠えてしまうわんちゃんのご相談でしたが、我が家のアニーはまったく違う理由で掃除機に吠えていました。
アニーはキャンディとは正反対で「面白い動きをする掃除機と遊びたい!」と掃除機を見ると大興奮し、吠えながら飛びつこうとするほどでした。
アニーには、「待て」をさせて、掃除機を少し動かし、待っていられたらごほうび、更にもう少し動かし、それでも待っていられたらごほうび、を繰り返し、「面白い動きの誘惑」に負けずに落ち着いていられる練習をしました。
余談ですが、この「動きの誘惑」に負けない練習は、その後お散歩の時に、走る自転車や飛び立つ鳥を追いかけないように落ち着かせることにも応用することが出来ました。
同じ「掃除機に吠える」ですが、吠える理由が違うとこのように対処法もまったく違ってきます。
わんちゃんが「怖い」「苦手」と感じるものの中には、私たちにとっては「え、こんなものが?」と感じるものもたくさんあります。飼い主さんが先に怖いものを察知して、苦手意識を薄くするように工夫してあげることが大切です。
エアコンの風に揺れるカーテン、マンションのエレベーターが上がってくる音、取り込んだ洗濯物の山……人間の目線ではこれらが怖いとは考えつきません。
「もし私がこの子くらいの大きさで、その上今よりずっと耳が良くて音が大きく聞こえたら?」とわんちゃんの目線になってみると、怖いと感じるものが多いことに気が付くと思います。
「こんな物が怖いの、弱虫ね」「本当に意気地がないんだから」などと言わず、「怖い気持ちはよくわかる。だから、少しずつ一緒に克服してみようよ」という気持ちで、わんちゃんに自信をつけてあげてください。
ご相談のわんちゃんも、小さな体で吠え続けて、一生懸命怖い気持ちをぬぐい去ろうとしているのだと思います。
焦らず、少しずつ「掃除機は敵ではない」ことを教えてあげてみてください。
(更新日:2008年03月25日)

高田由香(たかだ・ゆか) ドックアドバイザー

ペット可の集合住宅でのしつけ教室やセミナー、イベントの企画・運営などに携わり、「人間と犬が自然に共生できる社会」を目指して精力的に活動中。
カフェ&わんこの保育園&グッズショップ一体型「Parco del Cane(パルコ・デル・カーネ)」をご主人とオープン。愛する夫と愛する子供達(キースホンド1匹、コーギー2匹、ダルメシアン1匹)との6人(?)家族。趣味はサッカー観戦。イタリアセリエA「ACミラン」の熱烈サポーター!


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