「家は私に楽しさや安らぎを与えてくれる。そして時にはハッとするほどの美しい風景を見せてくれる、頼りになる心の居場所です」と、建築家の阿部勤さん。
約30年間お住まいの自邸は、阿部さんご自身や周辺の自然ともしっくりなじみ、美しい風格を感じるたたずまいです。料理の腕をふるい、仲間や学生をもてなすことも多い阿部さん。「楽しく集う」ための家づくりについて、お話をうかがいました。

阿部さん 集うというと、まず人が集まることを考えますが、集うとはひとつの場所に寄り集まること。広い意味では、人だけではなく、自然や物とのコミュニケートも含まれるわけです。あふれる緑や、好きな物に囲まれていると、なれ親しんだ人と生活するような心地よさがあるでしょう。私は住まいの豊かさとは、量や質の満足ではなく、周囲との関わりの深さ、つまり人や自然といかに心地よく集っていくかが重要な要素だと思っています。

水まわりは人の暮らしにとって大切な場所です。今やキッチンはダイニングキッチンとして、家の真ん中に引っ張り出されて、人が集う場所として脚光を浴びている。しかし風呂場や脱衣場は、まだ北側のジメジメした場所に置かれていることが多い。かつて日本では銭湯という文化があり、また自然の中にある露天風呂は綿々と愛されている。本来、風呂という場が、体と心を癒す場所だということを知っている民族なのに、自宅では狭くジメジメした空間でただ体を洗うだけではつまらないでしょう。

そんな閉ざされた場所を、もっと積極的に関わりのある空間に変えていく。つまり人や自然と集える生活空間にしようというのが持論です。ごく一般的な住宅をリフォームした事例と合わせて、具体的にご説明しましょう。

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