3週にわたり、それぞれのジャンルで活躍する暮らしの達人に、心地よい空間のつくり方を教えていただきました。今回は総集編です。彼らの心を満たすお気に入りの場所、そしてご自身の理想の住まいをテーマに語り合っていただきました。

阿部勤(あべ・つとむ)さん
(建築家)
好きな場所ばかりだね。家は心の居場所で、住む人にとって世界の中心だからね。でもしいて言うなら、家の中と庭の間にある縁側のようなテラスかな。
大川雅子(おおかわ・まさこ)さん
(料理研究家)
それ、分かります。私はマンション住まいですが、部屋とベランダの間の窓枠が特等席。そこに腰掛けて、お茶を飲むのが一番好きな時間です。
阿部
大川さんにとっての縁側だね。私が育ったころは、縁側は日なたぼっこをしたり、布団を干したり、おしゃべりしたり。いろんなことができる生活空間だった。
川崎淳与(かわさき・あつよ)さん
(ギャラリー主宰)
そうね、懐かしいわ。

大川
内でも外でもない半身出られるような場所で、風や季節のうつろいを感じるとホッとしますものね。
阿部
もともと我々アジア人は、自然と近い場所で暮らしていたでしょう。縁側は雨風や日差し、気温などの外的条件をコントロールするためにも必要な場所だったんです。日本という風土で心地よく暮らすためには、縁側のような場所を復活させることは大切だと思いますね。
川崎
マンションでは室内の空気まで人工的に管理される時代だから、確かに自然への飢餓感のようなものはありますね。
阿部
そうでしょうね。今ね、家の一番日当たりのいい場所に、自然と一体感のある風呂を作ろうと提案をしているんですよ。バスルームと温室が一体になったような空間でね。風呂上りには、コルビュジエのシェーズロングにビール片手で寝そべるなんていいでしょう。

川崎
それは羨(うらや)ましい! いま癒しの空間として、ちょっとしたお風呂ブームですものね。生活自体が変わりそうですね。
阿部
実際リフォームした方は、皆さんそうおっしゃって下さいます。広々とした明るい風呂で、悠々と老後を過ごせるって。ところで川崎さんのお気に入りの場所はどこですか。
川崎
私は玄関かな。出かけるときはエネルギーをもらい、疲れて帰ってきたときは温かく迎えてほしい。ギャラリーさながらに趣味のアートを置いたり、季節の草花を飾ったりして楽しんでいます。

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