古い家こそ手をかける楽しみも広がるもの。 借地の古家を改装して、アトリエ兼住居としている彫刻家の神林學さん。 その遊び心あふれる住まいを訪ねてみると――。
路上に緑陰を落とす屋敷林。四つ角に据えられた道祖神。昭和の面影を残すどこか懐かしいブロック塀の家並み……。彫刻家・神林學さんが暮らすのは、都心部の古くからの住宅地だ。ひときわ緑の濃い一角に足を止めると、友人が作ったというユニークな門扉や、足元のコンクリートに埋め込んだ色とりどりのビー玉が、訪れる人の頬を緩ませる。門を入れば小さな庭がある。さまざまな草花と潅木が茂るさまは、ちょっとした雑木林の風情だ。クワやグミ、ヤマボウシ、サルナシと、実のなる木々が多いせいだろう、時折、鳥のはばたきも聞こえる。緑のあい間にいくつも配置されたひとがたの造形物は、すべて神林さん自身の作品だ。
屋内に入ると、また驚きが待っている。玄関も、そして居室内も、天井といい壁といい、大小さまざまな作品がぎっしり。ダイニングテーブルのすぐ横には、制作中の作品がひしめく作業スペースがある。アトリエと生活の場が、ゆるやかに共存する。
もとは社宅だったという築50年を超える2階建に、神林さん夫妻が暮らしはじめて7年。以前の住居から越したのは、妻の利美さんの母が高齢となり、近くに住む必要を感じてのことだったそうだ。けれども都心で十分な制作スペースを持てる物件は家賃も高い。ようやく見つけたのが、古家付き借地だった。
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