佐々木さん夫婦がアウトドアに親しみはじめたのは、30代の初め。子供たちを連れて、海辺でバーベキューを楽しむようになったのが最初だ。
「その頃、撮影の仕事で毎年ハワイに通っていたんです。向こうでは仕事が終われば、打ち上げはバーベキューパーティー。すると、現地スタッフが皆、バーベキューコンロやクーラーボックスを持ち寄るんですよ。30年前の日本では見たことのない道具ばかりです。こういうの、いいなぁ……と」
スーパーマーケットに行っては少しずつ買い求め、帰国すれば家族と共に使ってみる。ハワイ出張を繰り返すうち、アメリカならではのユニークで合理的な道具が次々と集まり、同時に使いこなしのウデも上達していったというわけだ。

現在愛用している道具の多くは、その当時に買った。長年使いこんでできたキズやへこみも、味わいのうちだ。中にはちょっと不思議な品もある。木の樽に金属性の筒とハンドルをセットしたものは、アイスクリーム製造器。筒に牛乳と卵、砂糖、周囲に氷と塩を入れてハンドルを回す仕組みだ。左右にふたのついたアルミ鍋はポップコーン専用の鍋だそうだ。
「キャンプ場に子供が多い時、看板を立ててアイスクリームやポップコーンを配ると、みんなすごく喜んでくれますよ。そういう日は、僕はアイスクリーム屋のおじさんって呼ばれます」
料理を作る鍋は銅や鋳物、食器は陶器。テーブルにはクロスを掛け、飲み物はグラスで。使い捨ての紙皿やプラスチック皿などは一切使わない。
「アウトドアでも本物を使うほうが気分いいでしょ?」と、こともなげに言う穂積さんだが、出てくる道具ひとつひとつ、デザインまでも“かっこいい”。「……実は、そういう言葉が欲しくて頑張ってるんですよ(笑)。なるべく悟られないようにしてるけど、誉められるとつい顔がほころんじゃう」
調味料を並べる玲子さんも、そんな夫の言葉に大きくうなずいて笑う。
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