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Vol.06 リタイヤ後にはじまった 「町の活性化」への試み 小椋春平さんを訪ねて

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健康を取り戻し、地域活動へ

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海を渡れば宮島。遠くに赤い鳥居が見える

「実は、ここは死ぬために建てた家だったんですよ」と小椋さん。

マツダのPR誌や企業広告を手掛けはじめてからはずっと、東京と広島を行き来する多忙な生活が続いた。広島市内に家も持った。しかし、18年前に激症肝炎を発症。いったんは快癒したかに見えたものの、不調は何度かぶり返し、10年ほど前には覚悟を決めた。仕事は皆、部下に任せて引退し、妻と約束していた静かな暮らしに入った。

「1、2年で死ぬと思ったんです。その時のために、この家はベッドから戸外まで棺(ひつぎ)を平行移動できるように設計してくれ、と」

結果、建物はバリアフリー。自然環境は豊かで空気はいい。朝は鳥の声で目覚める生活だ。そんな快適な日々のせいだろうか、体調は薄紙をはぐように良くなり、やがて小椋さんの実績を知る地元の人々が相談に来るようになった。生来のクリエイティブな血が騒ぎはじめた。

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「双峰」は原稿もすべてひとりで書く

最初は、祭りの相談から始まった。JR宮島口駅周辺をどう活性化するか。宮島へは毎年266万人もの観光客が訪れるのだが、駅から島に渡るフェリー乗り場までの5分ほどの距離を、人々は抜けていくだけだ。ボランティアとしてさまざまなアイデアを出すうち、小椋さんは駅前再開発のプランを得意の絵に描いた。国道のルートを変え、町並みを再構成するその案は、驚きと将来への期待を地元に及ぼした。商店会の勉強会もはじまった。

住まいのある高台エリアでも、小椋さんはユニークな活動を展開する。地域には独り暮らしの高齢者も年々増えていく。そうした人々に読んでもらうため、団地の自治会長になった昨年から、個人で毎月、「双峰(そうほう)」と名付けた2ページのタブロイド紙を作りはじめた。高齢者や独り暮らしの人への通信で、内容は健康情報やエッセイ、俳句など。各戸に配布する時は白紙のハガキを2枚添える。1枚は知り合い、もう1枚は離れて暮らす身内に出してもらうため。ハガキ代もポケットマネーだ。

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もみじまんじゅう店の岩村孝社長も町おこしの仲間

「月に一度でも便りを出せば、近況もわかるし、遠くのお身内ともつながりを保てるでしょう?」

ペアリングと呼ぶシステムも作った。高齢者と近所の人で2人組になり、元気を知らせるサインを決める。それは毎朝外に出す鉢植えだったり、洗濯物と一緒に干す赤いハンカチだったり。サインが出ていないなど気がかりがあったら民生委員に連絡するという仕組みだ。「双峰」やペアリングを通じて、地域の輪は広がっていった。

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