北海道で生まれた落合さんが、これまで生活した土地は多数。小学校教師として各地に赴任し、札幌で定年を迎えた。
「それで、なにか体を動かす趣味を持とうと、カヌーの1日教室に行ったんです。でも、風の強い日で、教室が休みになって」
せっかくその気になって出かけてきたのだ。風があってもできるものはないのか。尋ねたところスタッフに勧められ、体験したのがヨットだった。
「やってみたらおもしろい。カヌーは自分で漕がなきゃいけないでしょ。ヨットは風の力で進む。スピートを出す操船には筋力もいるけれど、のんびり走るぶんにはラク」
しかし自分のヨットを持ちたいと思っても、市販のものは高価な上、預けるのに費用がかかる。いったん係留場所を決めたら、そこを本拠地にするしかない。
「できれば、あちこちの海で楽しみたい。それには分解して持ち運べる双胴船がいい、と。売っているものは大き過ぎるので、なんとか自分で作れないかと考えたんです」
小学校では図工などを教えていたこともあり、物を作るのは好き。胴のつなぎ方で悩むうち、たまたまヨットショー会場の片隅で出合ったのが、小型のカタマランの図面を販売するブースだった。
「私の理想にぴったりで。出展していた馬渡さんという方に現物を見せてもらい、製作をはじめました」
材料はベニヤと角材、金属パーツ。帆を支える竹は、自分で近所の竹林から切ってきた。ガレージにとめた軽トラックの荷台が作業場だ。時間はかかったが、自分で乗るヨットが徐々に形になっていく楽しさは格別のものだったという。

完成したヨットは、長さ3メートル、胴の幅は約50センチメートル。材料費としては船体が10万円ちょっと、帆は5万円程度だったとか。市販の完成品だと安くても30万円以上するそうだ。
出来上がってから3年。組み立てはもう手慣れたものだ。車から部品を下ろし、海に漕ぎ出すまではものの15分ほど。
「今はまだ遠出はしていませんが、西伊豆や沖縄にも行きたいし、湖でも走らせてみたいですね」
カタマランで海に出るのは、海水浴客で混雑する時期を避けた春から秋。冬の間は、ヨットスクールの卒業生仲間と、本格的な大型ヨットにも乗る。風と波を見つつ、自然を肌で感じるひとときがなによりの喜びだ。

※当サイトの推奨ブラウザは、Windows Internet Explorer6.0以上、Netscape7.0以上、Firefox 1.0以上、Macintosh Safari 1.0以上となります。
Copyright The Asahi Shimbun Company. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.
どらくに掲載の記事・写真の無断複製転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。
©朝日新聞社
無断複製転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。