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シンプルライフ

Vol.12 リタイア後に見つけた趣味は 自然を楽しむ手作り「ヨット」 落合煦彦さんを訪ねて

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畑も庭も、夫婦で手作りを楽しむ

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庭の餌台に常連のヤマガラもやってきた
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ブルーベリージャムは毎年60瓶ほど作る
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早苗さんが撮影した花のポストカード

 悠々自適に趣味生活を送っているとも思える落合さんだが、実は日々の暮らしは結構忙しい。広い畑の世話があるのだ。

今の住まいがある地域は、若いころに夫婦で暮らした場所だ。早苗さんが育った土地でもある。義母をみとるため、定年後に戻った。近くには、義母が子供たちのために野菜や果樹を育てていた800坪の農地がある。相続した早苗さんの兄弟たちが現役で仕事を続けている今は、落合さん夫婦がその管理を引き受けているそうだ。

もちろん、農業のプロではない2人が耕作するには800坪は広すぎる。植えて数十年を経たキウイやクリ、山グルミの木が繁る一角で、夫婦で育てているのは少しの野菜と、春においしい芽をつけるタラの木、そして一番に力を注いでいるのがブルーベリーだ。

夏の終わり、たわわに実ったブルーベリーを2人で摘み、早苗さんは大量のジャムを作る。信仰するキリスト教会のバザーに寄付するためだ。粗糖(そとう)とレモンだけを加えて作ったおいしいジャムは、毎年心待ちにしている人も多い。

アパートの庭も2人で作る。数々の花を育てて写真に撮るのは早苗さんの楽しみ。写真はパソコンでポストカードに仕立て、これもバザー用に寄付する。睡蓮(すいれん)が育つ小さな池や、野鳥を呼ぶ餌(えさ)台は落合さんがこしらえたものだ。シジュウカラ、メジロ、ヤマガラ、カワラヒワ、シメ……餌台に置いたヒマワリのタネやミカンを食べに、鳥たちが次々とやってくる。常連の鳥は十数種。

「シジュウカラは鳴き声も性格もいいですね。メジロは姿がきれいだけれど、なかなか気が強い。2人でいつも食卓から眺めて、そんな話をしています」

自慢できるような趣味は何もないんですが、と話す落合さん。でも、ヨットも、畑や庭も、自分の手で作り上げ、長く親しんでいけるという意味では共通だ。

「どれも80歳、90歳になっても続けていけることばかりです。なかでもやはり、ヨットに出会えたことはよかったですね」

晴れた日は、海に行きたいし畑に出たい。木工仕事もしたい。次に作るなら、エンジン付きのボートか、櫂(かじ)をつけた和船か。迷いながらも、夢は広がる。

こぼれ話…

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工作好きの落合さんは、廃品を拾って上手に利用するのもお得意。現在、朽ちてきた餌台の屋根付きの新バージョンを製作中なのだが、屋根部分にはプラスチックの覆いがついている。聞けば、近所に投棄されていた衣裳ケースをカットしたものだそう。直角の屋根に、ケースの形状がぴったり!

PROFILE

落合煦彦(おちあい・あつひこ)

落合煦彦(おちあい・あつひこ)

1936年北海道生まれ。幼少期には、宣教師をしていた父の仕事で、日本領だったパラオで暮らしたこともある。戦争が激化して引き上げた後は、福島県の母の実家に住み、高校からは千葉県へ。印刷会社勤務を経て、小学校教師として全国各地の学校で教えたのち、リタイア後の楽しみにヨットの操船を習う。神奈川県に越してからは、三浦半島の長浜がホームグラウンド。

  文  :秋川 ゆか
写真:長尾 浩之

(更新日:2006年12月08日)

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