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シンプルライフ

Vol.13 学生時代の夢を実現し 趣味ではじめた「骨董稼業」 若原勝政さん・典子さんを訪ねて

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古い品を使う楽しさに魅せられて

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住まいはシンプルなインテリアをめざす
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日常で使う食器も自ら修復した古い品

もともと若原さん夫婦は若いころからの骨董好き。そのキャリアは、同じ美大の学生として知り会った当時までさかのぼる。

「画料が入るたび、古伊万里の皿などを買い求め、日常に使っていました。学生でも買えるような安い品ばかりでしたけど、見ているだけでもうれしくて」と典子さん。一緒にドライブに出て、あれこれ古道具を拾ってくることもしばしば。美大の学園祭では骨董市の出店もした。

「売ったのは、たまたま出会った老人が譲ってくれた品々でした。目の肥えた先生が買ってくれてね」と勝政さんも振り返る。「その老人からは、いいものをいろいろ見せてもらい、勉強させてもらいました」

いつか2人で、骨董の露天商をしながら各地を歩きたい……何度もそんな話を交わした。けれども、仕事、結婚、子育てと続く多忙な日々に、ほのかな夢はやがて遠のいていった。

とはいえ、骨董から離れていたわけではない。時代を経た品々の持つ心地よさは、若原家の生活に不可欠のもの。食器、家具、花器……、いつも暮らしの中に古い道具の数々があった。

好みは、高価な鑑賞骨董ではなく、日常で使えるものや、ちょっと楽しいもの。それは、今の住まいを見てもよくわかる。

2階に勝政さん、階段の踊り場に典子さんの仕事場を造り、3階にLDKを配置した屋内は、日用品もほとんど見えず、きわめてシンプル。そんな中にごくさりげなく、古い木の家具や壷(つぼ)、掛け軸などが飾られている。典子さんのイラスト作品を収納しているのは、洋行がめずらしかった時代のトランク。棚には、欠けやひびをていねいに修復した赤絵や古伊万里の器が並ぶ。ふだん使いの食器にはすべて、こうした古いものを使っているのだという。

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作家・獅子文六さんが使ったトランクを原画入れに

50代後半になって学生時代の夢を実現した今、2人のいちばんの楽しみは買い付けだ。家を壊す前など、あるものをまるごと買い取ってほしいという要望も多い。

典子さんは「そういう時は必ず、汚れたままにしておいてって言うの。きちんと箱に入ったような名品はつまらない。土足で上がって品物を探すような家なら最高です」と話す。

埃(ほこり)の積もった中、ふと目につく美。それは石だったり、鉄瓶だったり、古い着物やカメラだったり。

「宝探しの楽しさですね。道楽者の残骸(ざんがい)を見つけて、次の世代に引き渡す。それが私たちの道楽なんですよ」

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