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シンプルライフ

Vol.18 仲間と建てた「ログキャビン」に 手を入れ続ける週末の楽しみ 大槻順一郎さんを訪ねて

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小さなキャビンから楽しみが広がっていく

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古びた色合いの壁にアンティークの雑貨

大工たちが帰国した後も、キャビンでの大槻さんの作業は続く。

「完成時は壁も床もピカピカの白木。ゴミひとつ落とせない感じで、思い描いた姿とはなんだか違うんですよ。それで自分でコーティングをはがして、塗り替えることにしたんです」

壁を白く塗ってみる。夜、飲みながら眺めていると、まだきれいすぎるのが気になる。翌日、またはがす。その繰り返しで、梁も天井も塗り直すこと数度。使ったマスキングテープは、なんと2.5キロにも及ぶそうだ。窓枠の色も、すでに1年近く悩んでいる。

「ビバリーヒルズで見た、100年以上たつ家の雰囲気がすごくよくて、柿渋を塗れば似た風情が出るかと思ってるんですが」

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新鮮な刺身はなによりのごちそう

最近、建てた大工や台湾の少年に、キャビンの写真を見せた。せっかくきれいに作ったのに、なんでこんなに汚したんだと驚き、嘆く彼らに言った。おれは古びた雰囲気が好きなんだ。このキャビンも50年たてばいい味になるだろう。でも、そのころにはおれは死んでいるよ。だからこういうやり方しかないんだ――。

適度に古色をつけた建物には、海外で見つけたアンティーク雑貨もよく似合う。床にうっかりしょうゆやコーヒーをこぼしても、カナヅチを落として傷つけても気にならない。のんびり過ごすために建てたのだから、自分で手を入れながら、気軽に楽しみたい。

そんな居心地よさにひかれ、このキャビンには友人たちもよく集まる。LDのほかロフトと1ベッドルームがあるだけの建物に、多い時は11人が泊まったこともあるという。大工たちを泊めてくれた友人とは、「おじさんクラブ」と称した会を結成した。今のメンバーは10人ほど。キノコ採りや渓流釣りに行き、晩には宴会だ。

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友人夫婦とともに賑やかに食事を楽しむ

キャビンでは大槻さん自身で料理の腕を振るう。テーブルをにぎわすのは、山の収穫の他、日本海で揚がる新鮮な魚。週末はハーブクラフトの会やボランティアで活発に過ごす妻の直子さんも、月に一度ほどはここを訪れ、ゆっくりとした時間を送る。

「以前は歳を重ねるのがイヤだった時期もありました。家とは人を縛り、堕落させるものだとも思っていた。でも、そのまま突っ張り続けていてはダメだな、と気づいてきたんです」と大槻さん。「今は、この小屋でこれからどういうふうに遊ぼうか、あれこれ考えるのがとにかく楽しいんですよ」

キャビンの建築にかかった費用は900万円ほど。ただしビール代を除いて、だ。

「オレゴンの大工はビール好きで優しい連中ばかり。一緒に建てれば生涯の友達になれます。建てたい方にはぜひ紹介したいですね」

次は露天風呂のあるデッキも作りたいし、庭も少しずつ整えたい。58歳の遊びのプランはまだまだ先へと続く。

こぼれ話…

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「食べる人が自分で握りずしを作れる道具を考案したんですよ」と大槻さん。見ると、細目の竹を半分に割ったヘラ状の品。酢めしをくぼみに入れ、ワサビとネタを乗せて箸(はし)ですくって食べるのだ。酢めしがほどよく空気を含んで、ちょうどよいあんばいになるのだとか。果たしてこれは「握り」ずしなのか? でも試すとなかなかのすぐれもの。下にのりを敷けば軍艦巻き風のものもできる。実用新案も取れるかも?

PROFILE

大槻 順一郎(おおつき じゅんいちろう)

大槻 順一郎(おおつき じゅんいちろう)

1949年京都府生まれ。18歳で故郷を離れ、海外各地を旅する。20代でレザークラフトショップをスタート。また子供たちを対象とした冒険学校(グアム島)や、こんがりココナツ島(沖縄)などの活動にも携わる。88年、株式会社アクシスを設立。アメリカで100年の歴史を持つ「ラガディ・アン&アンディ」のキャラクターグッズでは大きなブームを呼んだ。妻の直子さんは同社の経理を担当しつつ、ハーブの会、ボランティアなどで活動。2人の娘は海外に留学中。

  文  :秋川 ゆか
写真:浮田 輝雄

(更新日:2007年03月09日)

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